心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律

(平成20年6月18日最高裁)

事件番号  平成20(医へ)1

 

この裁判では、

妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で

幻聴,妄想等に基づいて行った行為が

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び

観察等に関する法律」2条2項の対象行為に

該当するかどうかの判断方法について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

医療観察法は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し,

継続的かつ適切な医療等を行うことによって,

その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り,

もってその社会復帰を促進することを目的とするものである。

 

このような医療観察法の趣旨にかんがみると,対象者の行為が

対象行為に該当するかどうかの判断は,

対象者が妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で

幻聴,妄想等に基づいて行為を行った本件のような場合,

対象者が幻聴,妄想等により認識した内容に基づいて行うべきでなく,

対象者の行為を当時の状況の下で外形的,客観的に考察し,

心神喪失の状態にない者が同じ行為を行ったとすれば,

主観的要素を含め,対象行為を犯したと

評価することができる行為であると

認められるかどうかの観点から行うべきであり,

これが肯定されるときは,対象者は対象行為を行ったと

認定することができると解するのが相当である。

 

なぜなら,上記のような幻聴,妄想等により

対象者が認識した内容に基づいて

対象行為の該当性を判断するとすれば,

医療観察法による医療が最も必要とされる症状の重い者の行為が,

主観的要素の点で対象行為該当性を欠くこととなりかねず,

医療観察法の目的に反することとなるからである。

 

したがって,これと同旨の見解の下,対象者の本件行為が,

医療観察法2条2項5号に規定する対象行為に当たるとした原判断は,

正当として是認することができる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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