愛知県県税条例の自動車税の減免要件である「天災その他特別の事情」

(平成22年7月6日最高裁)

事件番号  平成21(行ヒ)52

 

この裁判は、

自動車の所有者が脅迫されて当該自動車を

他人に引き渡したためにこれを利用し得ないという損害を被ったことが,

愛知県県税条例(昭和25年愛知県条例第24号)72条所定の

自動車税の減免要件である「天災その他特別の事情」

による被害に当たるとはいえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 課税庁による恣意を抑制し,

租税負担の公平を確保する必要性にかんがみると,

課税の減免は,法律又はこれに基づく命令若しくは

条例に明確な根拠があって初めて

行うことができるものというべきである。

 

地方税法162条による自動車税の減免は,

天災等により担税力が減少し又は消滅したため,

徴収の猶予等の同法の定める他の措置によっても同税の負担を課すことが

相当性を欠くと認められるような納税者に対し,

地方公共団体の条例において定める要件に適合することを条件として

個別的な救済を図るための制度であると解される。

 

この規定を受けて,本件条例72条は,

「天災その他特別の事情により被害を受けた者」に対し

自動車税を減免することができると規定しているところ,

これは,天災等によりその財産につき損害を受けた者に対し,

上記と同様の観点から,同税の減免を認める趣旨のものと解される。

 

そして,その財産につき損害を受けた納税者に対する

徴収の猶予について定める地方税法15条1項1号は,

「震災,風水害,火災その他の災害」及び「盗難」という,

いずれも納税者の意思に基づかないことが客観的に

明らかな事由によって担税力が減少し又は

消滅した場合のみを要件として掲げている。

 

そうすると,本件条例72条の定める減免の要件としての

「天災その他特別の事情」についても,

徴収の猶予の要件よりも厳格に解すべきものであるから,

少なくとも,これらの要件と同様に,

納税者の意思に基づかないことが客観的に明らかな事由によって

担税力を減少させる事情のみを指すと

解するのが文理にも沿い,相当である。

 

なお,損害の回復のためにできる限りの方策を

講じたものの不奏功に終わったというような事情は,

当該損害を被った者につき自動車税の減免の

「必要があると認めるもの」に当たるか否かを判断する際に

考慮することがあり得るのは格別,当該損害自体が

納税者の意思に基づかないことが客観的に

明らかな事由によって生じたといえるか否か,

すなわち,「天災その他特別の事情」に当たるか否かの判断には

直接の関連性を有しないものといわざるを得ない。

 

(2) 前記事実関係によれば,被上告人は,

脅迫された結果であるとはいえ,

Bに対し本件自動車を貸与することを承諾していたというのであるから,

被上告人がその購入した本件自動車を利用し得ないという損害を被ったとしても,

それが被上告人の意思に基づかないことが

客観的に明らかな事由によって生じたものとはいえず,

したがって,これを「天災その他特別の事情」

に当たるということはできない。

 

そうすると,本件処分時において被上告人につき

本件条例72条の定める減免の要件を満たしていないとした

愛知県豊田加茂県税事務所長の判断は相当であり,他に,

本件処分に取り消すべき違法があったことをうかがわせる事情は存しない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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