憲法29条3項,国有財産法19条,国有財産法24条2項

(平成22年2月23日最高裁)

事件番号  平成18(行ヒ)79

 

この裁判は、

市営と畜場の廃止に当たり市が利用業者等に対してした支援金の支出が,

国有財産法19条,24条2項の類推適用又は

憲法29条3項に基づく損失補償金の支出として

適法なものであるとはいえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 国有財産法は,普通財産を貸し付け,その貸付期間中に契約を解除した場合の

損失補償を規定し(同法24条2項),

これを行政財産に準用しているところ(同法19条),

同規定は地方公共団体の行政財産の使用許可の場合に

類推適用されることがあるとしても(最高裁昭和44年(オ)

第628号同49年2月5日第三小法廷判決・民集28巻1号1頁参照),

前記事実関係等によれば,行政財産である本件と畜場の利用資格に制限はなく,

利用業者又はと殺業務従事者らと市との間に

委託契約,雇用契約等の継続的契約関係はないというのであるから,

単に利用業者等が本件と畜場を事実上,独占的に使用する状況が継続していたという

事情をもって,その使用関係を国有財産法19条,24条2項を

類推適用すべき継続的な使用関係と同視することはできない。

 

また,財産上の犠牲が一般的に当然受忍すべきものとされる制限の範囲を超え,

特別の犠牲を課したものである場合には,憲法29条3項を根拠にして

その補償請求をする余地がないではないが

(最高裁昭和37年(あ)第2922号同43年11月27日大法廷判決・

刑集22巻12号1402頁参照),

上記のとおり,利用業者等は,市と継続的契約関係になく,

本件と畜場を事実上独占的に使用していたにとどまるのであるから,

利用業者等がこれにより享受してきた利益は,基本的には

本件と畜場が公共の用に供されたことの

反射的利益にとどまるものと考えられる。

 

そして,前記事実関係等によれば,本件と畜場は,

と畜場法施行令の改正等に伴い必要となる施設の新築が

実現困難であるためにやむなく廃止されたのであり,

そのことによる不利益は住民が等しく受忍すべきものであるから,

利用業者等が本件と畜場を利用し得なくなったという不利益は,

憲法29条3項による損失補償を要する

特別の犠牲には当たらないというべきである。

 

そうすると,本件支援金の支出は,国有財産法19条,

24条2項の類推適用又は憲法29条3項に基づく

損失補償金の支出としては,

適法なものであるとはいえない。

 

したがって,原審が本件支援金の法的性格を損失補償金と

解していたとすれば,その支出が違法であるとはいえないとした

原審の判断には,法令の違反がある。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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