所得税法違反
(平成7年6月21日最高裁)
事件番号 平成4(あ)6
最高裁判所の見解
所得税法二三八条二項は、免れた所得税の額が五〇〇万円を超える場合、
情状により、同条一項の罪の罰金は、
五〇〇万円を超えその免れた所得税の額に相当する
金額以下とすることができる旨規定しており、
確定所得申告に係る所得税につき免れた所得税の額が
右罰金額の上限とされている。
そして、昭和六三年法律第一〇九号
「所得税法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)により
所得税法、租税特別措置法について所論指摘の
税率等の改正が行われたが、改正法附則二条、三条によれば、
改正法施行後においても、本件各犯行年分である昭和六一年分、
同六二年分の確定所得申告に係る所得税の額は各犯行時において
適用された所得税法により計算すべきことが明らかであるから、
その計算方法に基づいて算出された免れた所得税の額が
所得税法二三八条二項所定の「免れた所得税の額」として
前示罰金額の上限となるものである。
したがって、本件は犯罪後の法律により
刑の変更があった場合には当たらないから、
刑法六条を適用すべきものではないとした原判断は正当である。
所論は、独自の見解であって採用することができない。
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