所得税法28条1項,183条1項,国税通則法

(平成16年9月7日最高裁)

事件番号  平成10(行ツ)77

 

この裁判では、

源泉徴収による所得税につき自動的に確定していた税額に

包含される金額でされた納税の告知が適法かについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

前記事実関係等によれば,上告人は,前記の経緯から,

被上告人が甲に対して本件貸付金に対する利息相当額の

経済的利益を供与したものとし,これが被上告人の甲に対する

給与等(役員報酬)の支払に当たるものとして

本件納税告知及び本件賦課決定をしたというのであり,

その実質は,被上告人が甲に代わって本件支払利息を

支払ったことにより甲が被上告人から

受けた同額の給与等(賞与)に当たる

経済的利益のうち本件貸付金に対する利息相当額の限度で

被上告人に対し源泉徴収税の納税義務の履行を

請求するにとどめたものというべきである。

 

本件納税告知の前提となる源泉所得税の納税義務は

被上告人が甲に代わって本件支払利息を支払った時点で成立し,

同時に納付すべき税額も自動的に確定していたのであり,

その内容は,原審が判断したとおりであって,

被上告人には自明のことであったというべきところ,

納税の告知は前記のとおり書式が

定められた納税告知書をもってされるのであり,

平成元年11月分,同2年2月分,同年5月分,

同年8月分及び同3年9月分に係る本件納税告知については,

上告人が本件納税告知により被上告人に対して

納税義務の履行として実際に請求した金額は,

上記のとおり納税義務が客観的に成立し税額が

自動的に確定していた源泉所得税の金額に包含されるものである上,

納税告知書に記載された所得の種類にも食い違いはみられない。

 

以上の事実関係の下においては,

本件納税告知及び本件賦課決定は,

被上告人が本件支払利息を支払った年月及びその額が

一致する限度で適法であるというべきである。

 

以上によれば,平成元年11月分,同2年2月分,

同年5月分,同年8月分及び同3年9月分に係る

本件納税告知は適法であり,同2年2月分,同年5月分,

同年8月分及び同3年9月分に係る

本件賦課決定も適法であるということになる。

 

以上と異なる見解の下に,上記各処分が違法であるとして

被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,

原判決中上記部分は破棄を免れない。

 

そして,以上説示したところによれば,

上記部分に関する被上告人の請求は理由がないから,

同部分に関する第1審判決を取り消し,

同請求を棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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