所得税法33条3項の「資産の譲渡に要した費用」

(平成18年4月20日最高裁)

事件番号  平成15(行ヒ)217

 

この裁判では、

資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法33条3項にいう

「資産の譲渡に要した費用」に当たるかどうかの判断基準について

裁判所が見解を示しました。

 

 

 

最高裁判所の見解

譲渡所得に対する課税は,資産の値上がりにより

その資産の所有者に帰属する増加益を所得として,

その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に,

これを清算して課税する趣旨のものである

(最高裁昭和41年(行ツ)第102号同47年12月26日

第三小法廷判決・民集26巻10号2083頁,

最高裁昭和47年(行ツ)第4号同50年5月27日

第三小法廷判決・民集29巻5号641頁参照)。

 

しかしながら,所得税法上,抽象的に発生している

資産の増加益そのものが課税の対象となっているわけではなく,

原則として,資産の譲渡により実現した所得が

課税の対象となっているものである。

 

そうであるとすれば,資産の譲渡に当たって支出された費用が

所得税法33条3項にいう譲渡費用に当たるかどうかは,

一般的,抽象的に当該資産を譲渡するために当該費用が

必要であるかどうかによって判断するのではなく,

現実に行われた資産の譲渡を前提として,客観的に見て

その譲渡を実現するために当該費用が

必要であったかどうかによって判断すべきものである。

 

前記事実関係等によれば,本件売買契約は

農地法等による許可を停止条件としていたというのであるから,

本件売買契約においては,本件土地を農地以外の用途に

使用することができる土地として売り渡すことが

契約の内容となっていたものである。

 

そして,前記事実関係等によれば,上告人が

本件土地を転用目的で譲渡する場合には

土地改良法42条2項及びこれを受けて制定された

本件処理規程により本件決済金の

支払をしなければならなかったのであるから,

本件決済金は,客観的に見て本件売買契約に基づく

本件土地の譲渡を実現するために必要であった費用に当たり,

本件土地の譲渡費用に当たるというべきである。

 

ただし,前記事実関係等によれば,

転用目的での農地の譲渡に伴う決済に当たり

三条土地改良区が組合員から徴収すべき

金銭の中には決済年度以前の年度に係る

賦課金等の未納入金が含まれているところ,

仮に本件決済金の中に本件土地を転用目的で

譲渡するか否かにかかわらず決済の時点で

既に支払義務が発生していた賦課金等の未納入金が

含まれていた場合には,本件決済金のうち

上記未納入金に係る部分は

本件土地の譲渡費用に当たらないというべきである。

 

また,前記事実関係等によれば,

三条土地改良区の組合員がその地区内の農地を転用目的で

譲渡するに当たり本件使用規程及び本件徴収規程に基づく

施設等使用負担金を支払った場合には転用された

土地のために土地改良施設を将来にわたり

使用することができることになるのであるから,

上記の施設等使用負担金の支払は当該土地の

譲渡価額の増額をもたらすものということができる。

 

そうであるとすれば,上告人が上記の

施設等使用負担金として支払った本件協力金等は,

本件土地の譲渡費用に当たるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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