所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」の支出の主体

(平成24年1月13日最高裁)

事件番号  平成21(行ヒ)404

 

この裁判では、

所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」

の支出の主体について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

(1) 所得税法は,23条ないし35条において,

所得をその源泉ないし性質によって10種類に分類し,

それぞれについて所得金額の計算方法を定めているところ,

これらの計算方法は,個人の収入のうちその者の担税力を

増加させる利得に当たる部分を所得とする趣旨に出たものと解される。

 

一時所得についてその所得金額の計算方法を定めた同法34条2項もまた,

一時所得に係る収入を得た個人の担税力に

応じた課税を図る趣旨のものであり,

同項が「その収入を得るために支出した金額」を

一時所得の金額の計算上控除するとしたのは,

一時所得に係る収入のうちこのような支出額に相当する部分が

上記個人の担税力を増加させるものではないことを

考慮したものと解されるから,ここにいう「支出した金額」とは,

一時所得に係る収入を得た個人が自ら負担して

支出したものといえる金額をいうと解するのが

上記の趣旨にかなうものである。

 

また,同項の「その収入を得るために支出した金額」という文言も,

収入を得る主体と支出をする主体が

同一であることを前提としたものというべきである。

 

したがって,一時所得に係る支出が所得税法34条2項にいう

「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには,

それが当該収入を得た個人において自ら負担して

支出したものといえる場合でなければならないと解するのが相当である。

 

なお,所得税法施行令183条2項2号についても,

以上の理解と整合的に解釈されるべきものであり,

同号が一時所得の金額の計算において支出した金額に算入すると定める

「保険料…の総額」とは,保険金の支払を受けた者が自ら負担して

支出したものといえる金額をいうと解すべきであって,同号が,

このようにいえない保険料まで上記金額に算入し得る旨を

定めたものということはできない。

所得税法基本通達34-4も,以上の解釈を妨げるものではない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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