被相続人の生存中に相続人に対し売買を原因としてされた所有権移転登記につき

被相続人の死亡後に相続を原因とするものに更正することの可否

(平成11年3月9日最高裁)

事件番号  平成9(オ)953

 

最高裁判所の見解

被相続人の生存中に売買を原因として

相続人の一人に対する所有権移転登記がされた場合、

被相続人の死亡後に、右登記を相続を原因とするものに

改めるとの更正登記手続をすることはできないものと解すべきである。

 

けだし、右登記がされた当時被相続人は生存中で、

同人につき相続が開始することがあり得ないのは明らかであり、

右更正登記手続は、帰するところ、実体法上は生ずることのない

物権変動を原因とする登記を行うものであって、

これを認めることはできないからである。

 

しかしながら、記録によれば、本件において、被上告人らは、

登記簿上は上告人A1の単独所有に係るものとして

権利関係が表示されている本件物件につき、

被上告人ら各自の現在の持分に応じて

右表示を是正するよう求めているにほかならず、

その請求が意図するところは、

上告人A1に対する関係では被上告人ら各自の持分についての

真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記手続を、

上告組合に対する関係では本件物件全部についての

根抵当権設定登記を上告人A1の持分についての

根抵当権設定登記に改めるとの更正登記手続を、

それぞれ求めていると解することができ、

右各請求はいずれも理由があるものというべきである。

 

したがって、原判決中上告人A1に対する

更正登記手続請求及び上告組合に対する右更正登記手続についての

承諾請求に関する部分は、

主文第一項に記載のとおり変更すべきである。

 

なお、原判決中右登記手続請求以外の請求に関する部分について、

上告人A1は上告理由を記載した書面を提出しないから、

同上告人の右部分に関する上告は、

不適法として却下することとする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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