手形法17条ただし書にいう「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ手形ヲ取得シタルトキ」
(平成7年7月17日最高裁)
事件番号 平成4(あ)321
最高裁判所の見解
手形所持人が、手形を取得する際に、
当該手形が貸金債権の未発生の利息の支払のために
振り出されたものであることを知っていても、
貸金債権の約定利息は時の経過により発生するのが通常であるから、
貸金債権の元本が弁済期前に弁済され利息が
発生しないであろうことを知っていたなど特段の事情がない限り、
手形法一七条ただし書にいう
「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ手形ヲ取得シタルトキ」
には当たらないものというべきである。
そうすると、上告人が本件手形を取得するに当たり、
それが未発生の利息債権の支払のために
振り出されたものであることを知っていたことのみから、
前記悪意の抗弁を認めた原審の判断には、
手形法一七条ただし書の解釈適用を誤った違法が
あるものというべきであり、
右違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
そして、本件については、前記特段の事情の有無等について
更に審理を尽くさせる必要があるので、
これを原審に差し戻すこととする。
スポンサードリンク