抗告訴訟の対象となる行政処分

(平成23年6月14日最高裁)

事件番号  平成22(行ヒ)124

 

この裁判は、

市営の老人福祉施設の移管先の公募に

提案書を提出して応募した事業者が市長から受けた,

提案につき決定に至らなかった旨の通知が,

抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

前記事実関係によれば,本件民間移管は,上告人と受託事業者との間で,

上告人が受託事業者に対し本件建物等を無償で譲渡し本件土地を貸し付け,

受託事業者が移管条件に従い当該施設を老人福祉施設として

経営することを約する旨の契約(以下「本件契約」という。)を

締結することにより行うことが予定されていたものというべきである。

 

本件募集要綱では,上告人は受託事業者の決定後においても

移管条件が遵守される見込みがないと判断するときは

その決定を取り消すことができるとされており,

本件契約においても,これと同様の条項が定められれば

解除権が留保されるほか,本件土地の貸付けには,

公益上の理由による解除権が留保されており

(地方自治法238条の5第4項,238条の4第5項),

本件土地の貸付け及び本件建物等の無償譲渡には,

用途指定違反を理由とする解除権が

留保され得るが(同法238条の5第6項,7項),

本件契約を締結するか否かは

相手方の意思に委ねられているのであるから,

そのような留保によって本件契約の契約としての

性格に本質的な変化が生ずるものではない。

 

そして,本件契約は,

上告人が価格の高低のみを比較することによって

本件民間移管に適する相手方を

選定することができる性質のものではないから,

地方自治法施行令167条の2第1項2号にいう

「その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないもの」として,

随意契約の方法により締結することができるものである。

 

また,紋別市公の施設に係る指定管理者の指定手続に関する条例及び

同条例施行規則は,上告人の設置する公の施設に係る

地方自治法244条の2第3項所定の指定管理者の指定の手続について

定めたものであって(同条例1条参照),

本件契約の締結及びその手続につき適用されるものではない。

 

そうすると,本件募集は,

法令の定めに基づいてされたものではなく,

上告人が本件民間移管に適する事業者を契約の相手方として

選考するための手法として行ったものである。

 

以上によれば,紋別市長がした本件通知は,上告人が,

契約の相手方となる事業者を選考するための手法として

法令の定めに基づかずに行った事業者の募集に応募した者に対し,

その者を相手方として当該契約を締結しないこととした事実を

告知するものにすぎず,公権力の行使に当たる行為としての

性質を有するものではないと解するのが相当である。

 

したがって,本件通知は,抗告訴訟の対象となる

行政処分には当たらないというべきである

(最高裁昭和33年(オ)第784号同35年7月12日第三小法廷判決・

民集14巻9号1744頁,最高裁昭和42年(行ツ)第52号

同46年1月20日大法廷判決・民集25巻1号1頁参照)。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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