抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令の効力

(平成14年3月12日最高裁)

事件番号  平成12(受)890

 

最高裁判所の見解

(1)転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が

抵当権の物上代位の目的となり得る場合においても,

転付命令が第三債務者に送達される時までに

抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは,

転付命令の効力を妨げることはできず,

差押命令及び転付命令が確定したときには,

転付命令が第三債務者に送達された時に

被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に

充当されたものとみなされ,抵当権者が被転付債権について

抵当権の効力を主張することはできないものと解すべきである。

 

けだし,転付命令は,金銭債権の実現のために

差し押さえられた債権を換価するための一方法として,

被転付債権を差押債権者に移転させるという

法形式を採用したものであって,転付命令が第三債務者に

送達された時に他の債権者が民事執行法159条3項に

規定する差押等をしていないことを条件として,

差押債権者に独占的満足を与えるものであり

(民事執行法159条3項,160条),

他方,抵当権者が物上代位により

被転付債権に対し抵当権の効力を及ぼすためには,

自ら被転付債権を差し押さえることを要し

(最高裁平成13年(受)第91号同年10月25日

第一小法廷判決・民集55巻6号975頁),

この差押えは債権執行における差押えと

同様の規律に服すべきものであり

(同法193条1項後段,2項,194条),

同法159条3項に規定する差押えに物上代位による

差押えが含まれることは文理上明らかであることに照らせば,

抵当権の物上代位としての差押えについて

強制執行における差押えと異なる取扱いをすべき理由はなく,

これを反対に解するときは,

転付命令を規定した趣旨に反することになるからである。

 

なお,原判決に引用された当審判決は,

本件とは事案を異にし,適切ではない。

 

(2) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,

被上告人らの抵当権又は根抵当権の物上代位としての差押えは,

上告人の得た転付命令の効力を妨げることはできず,

乙債権中本件転付命令に係る部分は上告人の独占的満足に供されるべきであって,

これについて被上告人らの抵当権又は

根抵当権の効力を主張することはできない。

 

これと異なる見解に基づき,上告人の本件請求を理由がないとした

原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

この点をいう論旨は理由がある。

 

4 したがって,甲債権342万9263円及び

乙債権中の本件転付命令に係る1057万0737円の

合計1400万円は上告人に対して交付し,

本件供託金からこれらの金額を控除した

1987万4653円をE及び被上告人らに

その順位に従って配当すべきであり,この計算によれば,

上告人に対してはその手続費用5890円及び

債権の内金1399万4110円を交付すべきであり,

被上告人B2銀行への配当金については,

同被上告人に配当すべきものとされた847万7835円を0円とし,

被上告人B1協会への配当金については,

同被上告人に配当すべきものとされた

1460万6236円を1251万6721円に減額すべきこととなる。

 

そうすると,本件請求は,上記のとおり

配当表の変更を求める限度で理由があるから認容し,

その余は棄却すべきである。

原判決及び第1審判決は,主文第1項のとおり変更すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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