担保取消決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
(平成14年4月26日最高裁)
事件番号 平成14(許)1
最高裁判所の見解
仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い強制執行の停止がされた後,
債務者が破産宣告を受けた場合に,債権者は,
強制執行の停止がされなかったとしても
仮執行が破産宣告時までに終了していなかったという事情がない限り,
強制執行の停止により損害を被る可能性があるから,
債務者が破産宣告を受けたという一事をもって,
「担保の事由が消滅したこと」に該当するということは
できないと解するのが相当である
(最高裁平成13年(許)第21号同年12月13日
第一小法廷決定・民集55巻7号1546頁)。
そして,債権者は,上記損害の賠償請求権に関し,
強制執行の停止の担保として供託された金銭について,
他の債権者に先立ち弁済を受ける
権利を有する(民訴法400条2項,77条)ことは,
債務者が破産宣告を受けたことによって変わるところはない。
2 本件の経過は,東京地方裁判所が,平成11年5月12日,
D株式会社を被告とする損害賠償請求訴訟において,
抗告人の請求を一部認容する仮執行宣言付判決を言い渡したところ,
被告は,同月19日,金銭を供託する方法で本件担保を立てて
この判決に対する控訴に伴う強制執行停止決定を得たが,
その後,同年6月2日に破産宣告を受けたというのである。
そして,原審において,相手方は
強制執行の停止がされなかったとしても
仮執行が破産宣告時までに終了していなかったとい う事情が
存在することを立証していないし,
原審もこれを認定していない。
そうすると,本件で担保の事由が
消滅したものということはできない。
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