持分全部移転登記抹消登記手続
(平成9年7月17日最高裁)
事件番号 平成5(オ)342
最高裁判所の見解
減殺請求をした遺留分権利者が遺贈の目的物の返還を求める
訴訟の事実審口頭弁論終結前において、受遺者が、
裁判所が定めた価額により民法一〇四一条の規定に基づく
価額の弁償をする旨の意思表示をした場合には、
裁判所は、右訴訟の事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として
弁償すべき額を定めた上、受遺者が
右の額を支払わなかったことを条件として、
遺留分権利者の目的物返還請求を認容すべきである
(最高裁平成六年(オ)第一七四六号同九年二月二五日第三小法廷判決・
民集五一巻二号登載予定参照)。
これを本件についてみるに、受遺者である被上告人は
原審口頭弁論期日において右の趣旨の意思表示をしており、
上告人らが遺留分減殺により取得した本件土地の
持分各四〇分の一の原審口頭弁論終結時における価額は
各二四一万四七五〇円であるから、
被上告人が上告人らにそれぞれ
右の額を支払わなかったことを条件として、
上告人らの移転登記手続請求を認容すべきである。
以上と異なる限度において原判決には
法令の解釈適用を誤った違法があり、
この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、
原判決は破棄を免れず、右に説示したところに従い
原判決を主文のとおり変更することとする。
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