控訴棄却の決定

(平成21年6月17日最高裁)

事件番号  平成21(し)205

 

この裁判は、

控訴趣意書差出最終日が徒過したことを理由に弁護人がいない状態で

控訴棄却の決定をした控訴審の措置が是認された事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 申立人は,平成20年11月4日,岐阜地方裁判所で

殺人,死体遺棄,覚せい剤取締法違反被告事件につき

懲役11年に処せられ,同月7日控訴した。第1審においては,

殺人及び死体遺棄について共同正犯の成立が争われていたが,

有罪の認定がなされたものであり,

控訴審に送付された記録は全部で2冊であった。

 

(2) 同月13日,被告人により私選弁護人3名が選任され,

同年12月10日,控訴裁判所たる名古屋高等裁判所は,

控訴趣意書差出最終日を平成21年1月7日と,

第1回公判期日を同月29日と,それぞれ指定したが,

平成20年12月24日,上記私選弁護人3名は辞任した。

 

(3) 控訴裁判所は,同日,被告人に対し,

控訴審における弁護人選任に関する通知及び照会書を発送したところ,

同月26日,新たに金岡繁裕弁護士を私選弁護人とする

同月19日付けの弁護人選任届とともに,金岡弁護人から,

弁護人の控訴趣意書差出最終日を平成21年4月末日まで

延長するよう求める申請書が提出された。

 

(4) 控訴裁判所は,同年1月7日,

弁護人の控訴趣意書差出最終日を同年3月23日まで延長し,

同年1月8日,金岡弁護人からの第1回公判期日の変更請求を受けて,

同期日を同年5月14日に変更した。

 

(5) 同年3月23日,金岡弁護人から,

証拠資料の収集に時間を要すること及び前弁護人らが

約2か月の書面作成期間を得ていることとの均衡を理由に,

控訴趣意書差出最終日を同年4月27日まで

延長するよう求める申請書が提出され,控訴裁判所は,

その日のうちに,同最終日を同年3月30日まで延長した。

 

(6) 同月24日,金岡弁護人から,上記理由に加え,

同年3月末日に所属している事務所を移籍することになっており

その引っ越し作業があることなどを理由として,

控訴趣意書差出最終日を同年4月中旬以降まで

延長するよう求める申請書が提出されたが,

控訴裁判所は,その日のうちに,同申請を不許可とした。

 

(7) 同月26日,金岡弁護人は,控訴趣意書差出最終日が

延長されないのであれば責任をもって

控訴趣意書を完成させることができず,

被告人の防御を全うさせることができないとして,

控訴裁判所に対し,控訴趣意書を提出することなく,辞任届を提出した。

 

(8) 控訴趣意書差出最終日の翌日である同月31日,

原々審裁判所は,控訴趣意書の提出がないとして,

刑訴法386条1項に基づき決定により控訴を棄却した。

 

(9) 同年4月6日,金岡弁護士が,

弁護人選任届を提出するとともに,

上記控訴棄却決定に対する異議を申し立てたが,

同月17日,異議申立ては棄却された。

 

2 以上の事実関係の下では,私選弁護人である

金岡弁護人が控訴趣意書を提出しないまま辞任したため,

被告人に弁護人が付いていない状態であったとしても,

控訴趣意書差出最終日が徒過したことを理由に

申立人の控訴を棄却した名古屋高等裁判所の前記決定及び

これを維持した原決定は,相当なものとしてこれを是認することができる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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