損益相殺ないし損益相殺的な調整と民法708条

( 平成20年6月24日最高裁)

事件番号  平成19(受)1146

 

この裁判は、

Yが投資資金名下にXから金員を騙取した場合に,

Xからの不法行為に基づく損害賠償請求においてYが

詐欺の手段として配当金名下にXに交付した金員の額を

損益相殺等の対象としてXの損害額から控除することは,

民法708条の趣旨に反するものとして

許されないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

社会の倫理,道徳に反する

醜悪な行為(以下「反倫理的行為」という。)に

該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,

当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合には,

同利益については,加害者からの

不当利得返還請求が許されないだけでなく,

被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において

損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として

被害者の損害額から控除することも許されないものというべきである

(最高裁平成19年(受)第569号

同20年6月10日第三小法廷判決参照)。

 

前記事実関係によれば,本件詐欺が反倫理的行為に

該当することは明らかであるところ,被上告人は,

真実は本件各騙取金で米国債を購入していないにもかかわらず,

あたかもこれを購入して配当金を得たかのように装い,

上告人らに対し,本件各仮装配当金を交付したというのであるから,

本件各仮装配当金の交付は,専ら,

上告人らをして被上告人が米国債を

購入しているものと誤信させることにより,

本件詐欺を実行し,その発覚を防ぐための

手段にほかならないというべきである。

 

そうすると,本件各仮装配当金の交付によって上告人らが得た利益は,

不法原因給付によって生じたものというべきであり,

本件損害賠償請求において損益相殺ないし

損益相殺的な調整の対象として

本件各騙取金の額から本件各仮装配当金の額を

控除することは許されないものというべきである。

 

これと異なる原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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