政務調査費交付取消しとその返還措置請求事件

(平成22年3月23日最高裁)

事件番号  平成21(行ヒ)214

 

最高裁判所の見解

本件使途基準は,前記2(1)記載のとおり,資料購入費につき

「議員が行う調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要する経費」,

事務費につき「議員が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費」と定めるなど,

調査研究のための必要性をその要件としている。

 

議員の調査研究活動は多岐にわたり,個々の経費の支出が

これに必要かどうかについては議員の

合理的判断にゆだねられる部分があることも確かである。

 

そして,本件物品は,その機能,一般的用途からして,

議員の調査研究活動に用いられる可能性はあり,

それがパソコンやビデオカメラなどの

比較的高額な物品であるからといって,

直ちに上記の必要性を欠くものとはいい難い。

 

しかし,前記事実関係等によれば,本件物品は,

本件議員らの任期満了1ないし4か月半前という時期に購入されており,

任期中の最後の議会の会期後に購入されたものも少なくない。

 

また,本件議員らは,任期満了による選挙に立候補することなく,

市議会議員としての任期を終えたというのである。

 

そして,上告人は,本件議員らは

10年から20年以上にわたる議員としての経歴を有するところ,

このような手元に残る物品を在職中初めて購入したり,

緊急の必要性もなく買い換えたりしたと主張している。

 

前記の事実に加えて,

上記のような主張に係る事実が認められるのであれば,

本件各支出は調査研究のための必要性に欠けるものであったことが

うかがわれるというべきであり,その場合,特段の事情のない限り,

本件各支出は本件使途基準に合致しない違法なものと判断されることとなる。

 

この点,住民監査請求における本件議員らの

監査委員の調査に対する本件回答の内容は,

前記のとおり,そのほとんどが抽象的なものにとどまるところ,

本件において,このような抽象的な回答をせざるを得ないような

合理的な理由があるか否かは定かではなく,

本件回答があるだけで上記の特段の事情が

あるということは困難である。

 

そうすると,上告人の上記主張に係る事実の存否や

上記の特段の事情の有無について十分に審理することなく,

単に本件物品の品名を認定し,上記のような本件回答を参酌するだけで,

直ちに本件各支出は本件使途基準に

反するものとはいえないとした原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな

法令の違反があるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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