政治資金規正法違反被告事件
( 平成12年11月27日最高裁)
事件番号 平成9(あ)821
最高裁判所の見解
本件は、平成六年法律第四号による改正前の
政治資金規正法一二条一項に基づいて
提出された報告書を作成するに当たり、
それに虚偽の記入をしたというものであるところ、
何人が右報告書に虚偽の記入をしても、
政治資金の収支を公開することにより政治活動の公明と
公正を確保するという同法の目的が
没却されることに変わりはないのであって、
右改正前の同法二五条一項により右行為が処罰されるのは、
特定の者に課せられた義務に違反するからではないというべきである。
したがって、同条項が定める前記報告書に虚偽の記入をする罪は、
その主体が限定されたものではなく、
犯人の身分によって構成すべき犯罪ではないと解されるから、
原判決が、これと同旨の見解の下、会計責任者との
共謀による被告人の本件所為に対して平成七年法律第九一号による
改正前の刑法六五条一項を適用しなかった
第一審判決を正当とした判断は、これを是認することができる。
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