教科書検定の合憲性

(平成17年12月1日最高裁)

事件番号  平成14(オ)1615

 

最高裁判所の見解

憲法上,親は,子供に対する自然的関係により家庭教育等において

子女に対する教育の自由を有し,教師は,

高等学校以下の普通教育の場においても,

授業等の具体的内容及び方法において

ある程度の裁量が認められるという意味において,

一定の範囲における教授の自由が認められ,

私学教育の自由も限られた範囲において認められるが,

それ以外の領域においては,一般に社会公共的な問題について

国民全体の意思を組織的に決定,実現すべき立場にある国は,

国政の一部として広く適切な教育政策を樹立,

実施すべく,また,し得る者として,あるいは

子供自身の利益の擁護のため,あるいは子供の成長に対する

社会公共の利益と関心にこたえるため,

必要かつ相当と認められる範囲において,

教育内容についてもこれを決定する権能を有するというべきである

(最高裁昭和43年(あ)第1614号同51年5月21日大法廷判決・

刑集30巻5号615頁参照)。

 

ところで,普通教育の場においては,児童,生徒の側には

いまだ授業の内容を批判する十分な能力は備わっていないこと,

学校,教師を選択する余地も乏しく

教育の機会均等を図る必要があることなどから,

教育内容が正確かつ中立・公正で,地域,学校のいかんにかかわらず

全国的に一定の水準であることが要請されるのであって,

このことは,もとより程度の差はあるが,

基本的には高等学校の場合においても

小学校,中学校の場合と異ならない。

 

このような児童,生徒に対する教育の内容が,

その心身の発達段階に応じたもので

なければならないことも明らかである。

 

そして,本件検定基準に基づいて行われる検定の審査が,

上記の各要請を実現するために行われるものであることは,

その内容から明らかであり,その基準も,上記目的のため

必要かつ合理的な範囲を超えているということはできず,

子供が自由かつ独立の人格として成長することを

妨げるような内容を含むものではない。

 

また,本件検定制度による検定を経た教科書を使用することが,

教師の授業等における前記のような裁量を奪うものでもない。

 

したがって,本件検定制度は,

憲法26条,13条の規定に違反するものではなく,

このことは,上記大法廷判決の趣旨に徴して明らかである

(最高裁昭和61年(オ)第1428号平成5年3月16日

第三小法廷判決・民集47巻5号3483頁,

最高裁平成6年(オ)第1119号同9年8月29日

第三小法廷判決・民集51巻7号2921頁参照。

なお,憲法23条との関係については,

後記3において判断するとおりである。)。

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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