教科用図書検定調査審議会の作成した文書が民訴法220条3号後段の文書に当たるか

(平成12年3月10日最高裁)

事件番号  平成11(許)26

 

最高裁判所の見解

1 民訴法二二〇条三号後段の文書には、文書の所持者が

専ら自己使用のために作成した内部文書(以下「内部文書」という。)は

含まれないと解するのが相当である。

 

2 これを本件についてみるに、前掲事実に照らせば、

本件文書五、六は、検定意見を通知し必要な修正が行われた後に

再度審査を行うのが適当であるとの検定審議会の

判定内容を記載した書面及び検定審議会が

その旨を記載して文部大臣に提出した報告書を指すものと解されるところ、

これらはいずれも、検定審議会が、文部大臣の判断を補佐するため、

本件申請図書を調査審議し、議決内容を建議するという

所掌事務の遂行過程において、本件申請図書の判定内容の記録として

(本件文書五)、また、議決した内容を

文部大臣に報告する手段として(本件文書六)、

文部省内部において使用されるために

作成された文書であることが明らかである。

 

これらの文書は、その作成について法令上何ら定めるところはなく、

これらを作成するか否か、何をどの程度記載するかは、

検定審議会に一任されており、また、

申請者等の外部の者に交付するなど記載内容を

公表することを予定しているとみるべき特段の根拠も存しない。

 

以上のような文書の記載内容、性質、作成目的等に照らせば、

本件文書五、六は、文部大臣が行う

本件申請図書の検定申請の合否判定の意思を形成する過程において、

諮問機関である検定審議会が、所掌事務の一環として、

専ら文部省内部において使用されることを目的として

作成した内部文書というべきである。

 

3 以上によれば、本件文書五、六は、

民訴法二二〇条三号後段の文書に当たらず、

抗告人は、右規定に基づく文書提出義務を負うものではなく、

右各文書の提出を求める相手方の申立ては理由がない。

 

四 したがって、これと異なる原審の前記判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は裁判の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨は理由があり、その余の抗告理由について

判断するまでもなく原決定主文第一項は破棄を免れない。

 

そして、前記説示によれば、

同項に関する相手方の申立ては理由がないから、

これを却下することとする。

 

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