建物賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対し敷金返還請求権の存在確認を求める訴えにつき確認の利益があるとされた事例

(平成11年1月21日最高裁)

事件番号  平成7(オ)1445

 

最高裁判所の見解

本件訴えは、建物賃貸借契約の継続中に、

賃借人である被上告人が、

前賃貸人から賃貸人の地位を承継した上告人に対し、

保証金の名称で前賃貸人に交付したとする

敷金の返還請求権の存在確認を求めるものであり、

上告人は、前賃貸人に対する右敷金交付の事実を否認し、

敷金の返還義務を負わないと主張する。

 

第一審は、本件訴えは確認の利益を欠くものであるとして、

これを却下したのに対し、原審は、

確認の利益を認め、第一審判決を取り消し、

本件を第一審裁判所に差し戻した。

 

建物賃貸借における敷金返還請求権は、

賃貸借終了後、建物明渡しがされた時において、

それまでに生じた敷金の被担保債権一切を

控除しなお残額があることを条件として、

その残額につき発生するものであって

(最高裁昭和四六年(オ)第三五七号同四八年二月二日第二小法廷判決・

民集二七巻一号八○頁)、賃貸借契約終了前においても、

このような条件付きの権利として存在するものということができるところ、

本件の確認の対象は、このような条件付きの権利であると解されるから、

現在の権利又は法律関係であるということができ、

確認の対象としての適格に欠けるところはないというべきである。

 

また、本件では、上告人は、被上告人の主張する敷金交付の事実を争って、

敷金の返還義務を負わないと主張しているのであるから、

被上告人・上告人間で右のような条件付きの権利の存否を確定すれば、

被上告人の法律上の地位に現に生じている不安ないし

危険は除去されるといえるのであって、

本件訴えには即時確定の利益があるということができる。

 

したがって、本件訴えは、確認の利益があって、

適法であり、これと同旨の原審の判断は是認することができる。

 

右判断は、所論引用の各判例に抵触するものではない。

論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものであって、

採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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