既判力ある判断と実質的に矛盾する損害賠償請求

(平成22年4月13日最高裁)

事件番号  平成21(受)1216

 

この裁判は、

前訴において相手方が虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔し

勝訴の確定判決を取得したことを理由とする不法行為に基づく

損害賠償請求が許されないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

事実関係によれば,本件訴訟は,前訴判決の既判力ある判断と実質的に

矛盾する損害賠償請求をするものであるが,

当事者間に確定判決が存在する場合に,

その判決の成立過程における相手方の不法行為を理由として,

その判決の既判力ある判断と実質的に矛盾する損害賠償請求をすることは,

確定判決の既判力による法的安定を著しく害する結果となるから,

原則として許されるべきではなく,当事者の一方が,

相手方の権利を害する意図の下に,作為又は不作為によって相手方が

訴訟手続に関与することを妨げ,あるいは虚偽の事実を主張して

裁判所を欺罔するなどの不正な行為を行い,

その結果本来あり得べからざる内容の確定判決を取得し,かつ,

これを執行したなど,その行為が著しく正義に反し,

確定判決の既判力による法的安定の要請を考慮してもなお

容認し得ないような特別の事情がある場合に限って,

許されるものと解するのが相当である(最高裁昭和43年(オ)第906号

同44年7月8日第三小法廷判決・民集23巻8号1407頁,

最高裁平成5年(オ)第1211号・第1212号同10年9月10日

第一小法廷判決・裁判集民事189号743頁参照)。

 

原審の上記判断は,前訴において当事者が攻撃防御を尽くした

事実認定上の争点やその周辺事情について,

前訴判決と異なる事実を認定し,これを前提に上告人が

虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔したなどとして

不法行為の成立を認めるものであるが,

原判決の挙示する証拠やその説示するところによれば,

原審は,前訴判決と基本的には同一の証拠関係の下における

信用性判断その他の証拠の評価が異なった結果,

前訴判決と異なる事実を認定するに至ったにすぎない。

 

しかし,前訴における上告人の主張や供述が

上記のような原審の認定事実に反するというだけでは,

上告人が前訴において虚偽の事実を主張して裁判所を

欺罔したというには足りない。他に,上告人の前訴における行為が

著しく正義に反し,前訴の確定判決の既判力による

法的安定の要請を考慮してもなお容認し得ないような

特別の事情があることはうかがわれず,

被上告人が上記損害賠償請求をすることは,

前訴判決の既判力による法的安定性を著しく害するものであって,

許されないものというべきである。

 

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