日本にある不動産の所有者である中華人民共和国の国籍を有する者の相続

(平成6年3月8日最高裁)

事件番号  平成2(オ)1454

 

最高裁判所の見解

原審の確定したところによれば、被上告人はDの死亡後、

中華人民共和国上海市高級人民法院に対して

相続関係の証明を求めたところ、同法院の公証員は、

昭和五一年一二月二九日付けで継承権証明書を発行し、

日本にあるDの相続財産(本件土地)については、

Dの夫である被上告人及びその子四名が継承すべき旨を証明した、

というのである。

 

しかしながら、継承法一〇条は、法定相続の第一順位者として

配偶者、子、父母を規定しているところ、関係資料によれば、

中華人民共和国においては、相続人の範囲及び相続の順位などについては、

継承法の制定以前から同法の規定するところと

同一の慣行ないし法原則が存在したとされるのであって、

そうだとすれば、Dの相続については、

その父母もまた第一順位の法定相続人となるべきものである。

 

前記継承権証明書は、当時生存していたDの父であるEについては

何ら触れるところがないが、同人が相続人とならないことまでを

証明しているとするには疑問があるといわなければならない。

 

被上告人は、前記継承権証明書により、

Dの相続人は被上告人とその子四名であり、

右五名の遺産分割協議により、被上告人が

本件土地を相続したと主張するが、前示のとおり、

右証明書の内容に疑問があるのであって、

これに基づく遺産分割協議の効力も

また直ちには認め難いといわなければならない。

 

そうだとすれば、Dの相続問題は、

継承法が発効した時点において未処理であったというを妨げない。

 

以上によれば、Dの国外財産(本件土地)の相続については、

継承法の規定がさかのぼって適用され、

同法三六条及び法例二九条の規定により、反致される結果、

結局、不動産所在地法である日本法が適用されるべきこととなる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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