普通地方公共団体が一定額を超えない価格で不動産等を売却する必要がある場合と随意契約

(平成6年12月22日最高裁)

事件番号  平成5(行ツ)135

 

最高裁判所の見解

地方自治法は、普通地方公共団体が行う契約の締結については、

原則として、一般競争入札によるべきこととしている(同法二三四条二項)。

 

ところで、一般競争入札とは、契約に関する事項を公告し、

不特定多数の者を入札に参加させ、当該普通地方公共団体に最も

有利な条件で申込みをした者を契約の相手方として決定するものである。

 

そして、同法は、競争入札の方法について、

契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は

最低の価格をもって申込みをした者を契約の

相手方とするものとする(同条三項)と規定しているが、

右の一般競争入札の性質からして、競争入札の方法としては、

普通地方公共団体の収入の原因となる契約については、

最低制限価格を定めてそれ以上の範囲内で

最高の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とし、

普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、

最高制限価格を定めてそれ以下の範囲内で最低の価格をもって

申込みをした者を契約の相手方と

することを定めたものと解すべきである。

 

また、同項ただし書の趣旨からすると、同法は、

前者の契約について、一般競争入札において

最高制限価格を設けて入札を実施することを

認めていないものと解すべきである。

 

そうすると、普通地方公共団体が、

収入の原因となる契約を締結するため一般競争入札を行う場合、

最低制限価格のほか最高制限価格をも設定し、

最低制限価格以上最高制限価格以下の

範囲の価格をもって申込みをした者のうち

最高の価格の申込者を落札者とする方法を採ることは許されず、

このような方法による売却の実施は違法というべきである。

 

もっとも、普通地方公共団体が不動産等を売却する場合において、

合理的な行政目的達成の必要などやむを得ない事情があって、

売却価格が一定の価格を超えないようにする必要があり、

これを一般競争入札に付するならば、最高入札価格が

右一定の価格を超えるおそれがあるときには、

その売却は、「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」

(地方自治法施行令一六七条の二第一項二号)に当たるとして、

随意契約によって行うことができるものというべきである。

 

ただ、その場合においても、普通地方公共団体としては、

右の事情につき配慮した上で、当該地方公共団体に

最も有利な価格で売却すべき義務を負うのであるから、

そのような価格を売却価格として売却しなければならない。

 

これを本件についてみると、原審の適法に確定するところによれば、

本件売却は、売却の対象が公有水面埋立法による埋立地であるため、

法令上その処分価格に制限があり、また、

地価高騰の抑制のため、周辺地価との均衡を保って

売却する必要があるなどの事情があったというのであるから、

売却の性質及び目的が競争入札に

適しないものであったということができる。

 

したがって、a村としては、本件土地の売却に当たっては、

右のような事情を配慮して売却価格を定め、

随意契約により売却すべきであったのであり、

最高制限価格を定めた一般競争入札によって行った

本件売却の実施は違法といわなければならない。

 

これを適法とした原審の判断には、

同法二三四条三項の解釈適用を誤った違法があり、

右違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。

 

四 以上によれば、論旨は理由があり、

その余の上告理由について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、本件は、

本件売却価格と随意契約によったときの売却価格として

推認される価格との差異の有無など、

損害の発生の有無及びその額につき、

更に審理を尽くさせる必要があるので、

これを原審に差し戻すこととする。

 

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