普通地方公共団体の裁量権の範囲

(平成22年3月30日最高裁)

事件番号  平成21(行ヒ)211

 

この裁判は、

政令指定都市である市の議会における定例会等の会議に出席した議員に対し

費用弁償として日額1万円を支給する旨の当該市の条例の定めが,

地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)203条が

普通地方公共団体の議会に与えた裁量権の範囲を超え又は

それを濫用したものとして違法,無効であるとはいえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

法203条3項にいう費用の弁償について,条例で,

あらかじめその支給事由を定め,それに該当するときには

標準的な実費である一定額を支給する取扱いをする場合,

いかなる事由を支給事由として定めるか,また,

上記一定額をいくらとするかは,条例を制定する

普通地方公共団体の議会の裁量判断にゆだねられていると解される

(最高裁平成2年(行ツ)第91号同年12月21日

第二小法廷判決・民集44巻9号1706頁参照)。

 

本件条例は,議員が定例会等の会議に出席した場合に

定額の費用弁償を支給するものであるが,

上記会議はいずれも法に定められたものであって,

議員の重要な活動の場であり,そこへの出席に伴い,

その職責を十全に果たすための準備,連絡調整及び

移動等の費用を含む,常勤の公務員にはない諸雑費や

交通費の支出を要する場合があり得るところである。

 

そして,このような諸費用の弁償の定め方は,前記のとおり,

指定都市においても様々に異なるものの,

本件条例が定めるのと同程度の定額で

費用弁償を支給する指定都市も存在していたのであって,

札幌市議会は,このような取扱いとの均衡をも考慮しつつ,

費用弁償額を定めていたものということができる。

 

以上の事情を考慮すると,定例会等の会議に出席した議員に

費用弁償として日額1万円を支給する旨の本件条例の定めは,

法203条が普通地方公共団体の議会に与えた裁量権の範囲を超え又は

それを濫用したものとして違法,無効となると断ずることはできない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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