普通地方公共団体の議会による議員の外国研修旅行の決定に裁量権を逸脱した違法があるとされた事例

(平成9年9月30日最高裁)

事件番号  平成5(行ツ)57

 

最高裁判所の見解

普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の議決機関として、

その機能を適切に果たすために合理的な必要性がある場合には、

その裁量により議員を国内や海外に派遣することができるが、

右裁量権の行使に逸脱又は濫用があるときは、

議会による議員派遣の決定が違法となる場合のあることは、

当裁判所の判決の示すところである

(最高裁昭和五八年(行ツ)第一四九号同六三年三月一〇日第一小法廷判決・

裁判集民事一五三号四九一頁参照)。

 

ところで、本件についてこれをみると、原審の適法に確定するところによれば、

a町議会は、昭和六三年度の議員研修旅行について、

研修先を東南アジアとし、研修目的を外国の行政事情につき議員が

知識を深め議会の活動能力を高めるため外国における

産業、経済、文化に関する行政を視察するものとしながら、

旅行業者に旅行計画の立案を任せた上、

右業者が前記行政目的に関係する行動計画を一切含めることなく、

遊興を主たる内容とし、観光に終始する日程で旅行計画を提出したのに対し、

議員総数二〇人のうち、少なくとも本件旅行に参加した一四人の議員は、

右のような事情を承知の上で本件旅行の実施の決定に加わったというのであり、

その他の原審認定事実をも総合してみれば、

議会による本件旅行の決定には裁量権を逸脱した違法があるとし、

上告人らに対し、それぞれ右旅費に相当する一五万八〇〇〇円を

a町に返還するよう命じた原審の判断は、

結論において正当なものとして是認することができる。

 

右判断は、前記判例に抵触するものではない。

論旨は、原判決を正解せず、原審の認定に沿わない事実に基づいて

原判決を論難するものであって、採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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