暴力団組長射殺指示事件

(平成24年10月23日最高裁)

事件番号  平成21(あ)68

 

この裁判は、

裁判所が職権により被告人の勾留場所を変更する旨の

移送決定をした事例です。

 

最高裁判所の見解

本件は,暴力団A総業の組長であった被告人が,

いずれもその活動 に関連して,

(1) 自己も関与した交通事故を仮装した

保険金詐欺事件に関する口封じのため,

配下組員と共謀の上,同事件に被害者役として関与した者を

山中に連 れ出してけん銃で射殺した殺人,けん銃加重所持等の事実,

(2) A総業に出入り していた者から,同人が警察に逮捕されるよう

計画したなどと疑われたことに憤慨 し,配下組員ほかと共謀の上,

上記の者を組事務所で自らけん銃を発射して殺害す るなどした殺人,

死体遺棄等の事実,(3) 対立組織であるB一家の傘下組長であ った者に,

抗争に関連して自己の舎弟になるよう求めたがこれを拒まれたことなど から,

配下組員と共謀の上,飲食店前路上で,

同組長をけん銃で射殺するなどした

殺人,けん銃発射,けん銃加重所持,死体遺棄等の事実,

(4) 配下組員と共謀の 上,けん銃7丁等及び適合実包多数等を

所持した事実からなる事案である。 量刑上重視すべき

(1)ないし(3)の各事実についてみると,これらは,暴力団にお ける,

犯罪の隠蔽,内部対立,抗争のためにされた組織的犯行であって,

その罪質 は甚だ悪質であり,それぞれの経緯,動機に酌量の余地はない。

 

犯行態様は,いず れも,被害者を情け容赦なくけん銃で

射殺したというものであって,冷酷かつ残虐 である。

 

本件において3名もの生命が奪われており,その結果は重大であって,

(1),(3)の各被害者の遺族はしゅん烈な処罰感情を述べている。

 

被告人は,(1), (3)の各犯行においては,首謀者として,

配下組員に指示してそれぞれの被害者を 殺害させ,また,

(2)の犯行においては,配下組員にけん銃を準備させた上,

自ら 被害者殺害の実行行為に及んでいる。いずれも,

被告人が暴力団の組織力を活用し て敢行したものであって,

共犯者中,最も重い責任を負うべき立場にある。

 

なお, (4)の犯行において,多数のけん銃等を暴力団組織として

保管管理していた事実も 軽視することはできない。

 

そうすると,被告人の刑事責任は極めて重大であり,

(2)の事実に関しては,被害者は他の組員に傍若無人な振る舞いをし,

本件当日も,けん銃2丁を携行した状 態で憤激して

組事務所に押し掛けて来たなどの事情があったこと,

被告人又は上部 団体から,それぞれの被害者の遺族に対して

金銭が支払われ,特に,謝罪文を受け 取った(2)の被害者の遺族からは

被告人を宥恕する旨の上申書が提出されているこ となど,

被告人のために酌むべき事情を最大限考慮しても,

原判決が維持した第1 審判決の死刑の科刑は,

やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得 ない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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