有価証券報告書等に虚偽の記載がされている上場株式

(平成23年9月13日最高裁)

事件番号  平成22(受)1485

 

この裁判では、

有価証券報告書等に虚偽の記載がされている上場株式を

取引所市場において取得した投資者が当該虚偽記載がなければ

これを取得しなかった場合における,上記投資者に生じた

当該虚偽記載と相当因果関係のある損害の額について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

有価証券報告書等に虚偽の記載がされている

上場株式を取引所市場において取得した投資者が,

当該虚偽記載がなければこれを取得することは

なかったとみるべき場合において,

当該虚偽記載の公表後に上記株式を

取引所市場において処分したときは,

当該虚偽記載により上記投資者に生じた損害の額,

すなわち当該虚偽記載と相当因果関係のある損害の額は,

その取得価額と処分価額との差額を基礎とし,

経済情勢,市場動向,当該会社の業績等当該虚偽記載に起因しない

市場価額の下落分を上記差額から控除して,

これを算定すべきものと解される。

 

すなわち,上記投資者が上記株式を取得してから

これを処分するまでの間に上記株式の市場価額が

種々の要因によって変動することは通例であるところ,

機関投資家である上記投資者は,当該虚偽記載がなければ

上記株式を取得することはなかったとしても,

取得した株式の市場価額が経済情勢,市場動向,当該会社の

業績等当該虚偽記載とは無関係な要因に基づき変動することは

当然想定した上で,これを投資の対象として取得し,かつ,

上記要因に関しては開示された情報に基づきこれを

処分するか保有し続けるかを自ら判断することが

できる状態にあったということができる。

 

このことからすると,上記投資者が自らの判断で

その保有を継続していた間に生ずる上記要因に基づく

市場価額の変動のリスクは,上記投資者が自ら負うべきであり,

上記要因で市場価額が下落したことにより損失を被ったとしても,

その損失は投資者の負担に帰せしめるのが相当である。

 

したがって,経済情勢,市場動向,

当該会社の業績等当該虚偽記載とは

無関係な要因に基づく上記株式の市場価額の下落分は,

当該虚偽記載と相当因果関係がないものとして,

上記差額から控除されるべきである。

 

以上の理は,虚偽記載の公表の前後を問わず当てはまるところであるが,

虚偽記載が公表された後の市場価額の変動のうち,

いわゆるろうばい売りが集中することによる過剰な下落は,

有価証券報告書等に虚偽の記載がされ,それが判明することによって

通常生ずることが予想される事態であって,

これを当該虚偽記載とは無関係な要因に基づく

市場価額の変動であるということはできず,

当該虚偽記載と相当因果関係のない損害として

上記差額から控除することはできないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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