期限の利益

(平成21年4月14日最高裁)

事件番号  平成19(受)996

 

この裁判は、

貸金業者が,借主に対し,期限の利益の喪失を宥恕し,

再度期限の利益を付与したとした原審の判断に

違法があるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

記録によれば,上告人は,上記期限の利益の喪失後は,

本件貸付けに係る債務の弁済を受けるたびに,

受領した金員を「利息」ではなく「損害金」へ充当した旨記載した

領収書兼利用明細書を交付していたから,

上告人に期限の利益の喪失を宥恕し,

再度期限の利益を付与する意思はなかったと主張していること

(以下,この主張を「上告人の反対主張」という。),

上告人は,これに沿う証拠として,上記期限の利益の喪失後に

受領した金員の充当内容が記載された領収書兼利用明細書と

題する書面を多数提出していること,これらの書面のうち,

平成13年1月9日付けの書面及び受領金額が2737円と記載された

同年2月6日付けの書面には,受領した金員を

上記期限の利益を喪失した日までに発生した利息に

充当した旨の記載がされているが,

受領金額が8万6883円と記載された同日付けの書面及び

これより後の日付の各書面には,受領した金員を上記期限の利益を

喪失した日の翌日以降に発生した損害金又は

残元本に充当した旨の記載がされていること,

この記載は,残元本全額に対する遅延損害金が

発生していることを前提としたものであることが明らかである。

 

上告人が,上記期限の利益の喪失後は,被上告人Y に対し,

上記のような,期限の利益を喪失したことを前提とする記載がされた書面を

交付していたとすれば,上告人が別途同書面の

記載内容とは異なる内容の請求をしていたなどの特段の事情のない限り,

上告人が同書面の記載内容と矛盾する宥恕や期限の利益の再度付与の

意思表示をしたとは認められないというべきである。

 

そして,上告人が残元利金の一括支払を請求していないなどの

原審が指摘する上記4(3)の事情は,

上記特段の事情に当たるものではない。

 

しかるに,原審は,上告人の反対主張について審理することなく,

上告人が被上告人Y に対し,上記期限の利益の喪失を宥恕し,

再度期限の利益を付与したと判断しているのであるから,

この原審の判断には,審理不尽の結果,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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