株主権存在確認請求再審

(平成6年10月25日最高裁)

事件番号  平成6(オ)1095

 

最高裁判所の見解

民訴法四二〇条一項六号に該当する事由を再審事由とする

再審の訴えが同条一項但書により許されないのは、

再審原告が、再審の訴えの対象となった判決に対する上訴により、

右再審事由のほか、同条二項の要件を主張したか又は

右要件の存在を知りながらこれを主張しなかった場合に限られるものである

(最高裁昭和四四年(オ)第二一〇号同四七年五月三〇日第三小法廷判決・

民集二六巻四号八二六頁)。

 

また、同条二項の「証拠欠缺外ノ理由ニ

因リ有罪ノ確定判決…ヲ得ルコト能ハサルトキ」とは、

再審の訴えの対象となった判決の証拠とされた文書の偽造等につき、

本来ならばその実体において有罪の確定判決を得ることが可能であったのに、

被疑者の死亡、公訴権の時効消滅、

不起訴処分等実体に関係のない事由のため

これを得られなくなったことをいうものであるから、

文書の偽造等につき有罪の確定判決がない場合に

同条一項六号に基づいて再審を申し立てる当事者は、

被疑者の死亡等同項所掲の事実だけではなく、

それらの事実がなければ有罪の確定判決を得ることが

可能であったことについても

これを立証しなければならないものというべきである

(最高裁昭和三九年(オ)第一三七四号同四二年六月二〇日第三小法廷判決・

裁判集民事八七号一〇七一頁、最高裁昭和四八年(オ)第一一八九号

同五二年五月二七日第二小法廷判決・民集三一巻三号四〇四頁)。

 

そして、右のように、民訴法四二〇条一項六号に該当する事由を再審事由とし、

かつ、同条二項の適法要件を主張する再審の訴えにおいては、

被疑者の死亡等の事実が再審の訴えの対象となった判決の

確定前に生じた場合であっても、文書の偽造等につき

有罪の確定判決を得ることを可能とする証拠が再審の訴えの対象となった

判決の確定後に収集されたものであるときは、

同条一項但書には該当せず、

再審の訴えが排斥されることはないというべきである。

 

これを本件についてみると、原審の適法に確定したところによれば、

再審甲五号証の売上帳及びDの証言が得られたのは、

昭和六二年一一月一〇日に再審の訴えの対象となった判決が

確定した後であり、被上告人らは、これらの証拠により、

右確定判決の証拠となった甲一一号証の株券は、

E機械工業株式会社の代表取締役の地位を失った亡Fが

昭和五二年一一月ころ右会社の変更前の商号である

G製作所の代表取締役名義で作成日付をさかのぼらせて

作成した偽造の文書である、ということを主張、立証しており、

また、これらの証拠は、右文書偽造について

有罪の確定判決を得ることを可能にするものであるが、

それが得られた時点で既に行為の時から七年が経過し、

公訴時効の期間が満了していたというのである。

 

そうすると、本件再審の訴えは、

民訴法四二〇条二項の前記の要件を具備しており、

同条一項但書によって不適法となるものではない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク