根保証契約の保証の限度額が明示されなかった場合

(平成6年12月6日最高裁)

事件番号  平成4(オ)2051

 

最高裁判所の見解

1 原審の前記認定事実によれば、

本件根抵当権設定契約における極度額一二〇〇万円は、

本件証書貸付金の残元金八五〇万円と被上告人が

Dに新たに貸し付ける八〇〇万円の合計一六五〇万円から、

Dの被上告人に対する合計五〇〇万円の定期預金債権を

差し引いた額に見合うように定められたものであり、また、

一番抵当権者の申立てに基づく前記マンションの競売手続においては、

二番抵当権者である被上告人も配当として極度額である

一二〇〇万円の弁済金の交付を受け、

なお二〇九万一六八三円の剰余金があった、

というのである。そうだとすると、右極度額は、

信用組合取引約定により被上告人がDと取引を継続することによって

取得する債権が一七〇〇万円程度にとどまることを想定し、

この金額からDの被上告人に対する

合計五〇〇万円の定期預金債権を差し引いた

一二〇〇万円の範囲内において、

前記マンションの担保価値を把握すれば足りるとして

定められたものと解することができる。

 

そして、前記のとおり、本件保証契約は

本件根抵当権設定契約と同時に締結されたものであり、

右各契約はいずれも信用組合取引約定により

被上告人がDに対して取得する債権の回収を

確保するためのものであったところ、

この事実と前記のような各契約の締結及び極度額設定の

経緯を併せ考えれば、本件保証契約の文言上保証の

限度額が明示されなかったとしても、客観的には、

その限度額は本件根抵当権設定契約の極度額である

一二〇〇万円と同額であると解するのが合理的であり、

かつ、本件保証契約は、保証人の一般財産をも引当てにして、

物的担保及び人的保証の両者又はそのいずれかから

一二〇〇万円の範囲内の債権の回収を確保する趣旨で

締結されたものと解するのが合理的である。

 

したがって、本件においては、被上告人が根抵当権の実行により

その極度額相当の配当を受けた場合には、

本件保証契約による上告人の保証債務は当然に消滅することとなる。

 

2 そうすると、右と異なる原判決は本件保証契約の

趣旨の解釈を誤ったものであり、この違法は原判決の

結論に影響することが明らかである。

 

論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

そして、被上告人が配当として根抵当権の極度額である

一二〇〇万円の弁済金の交付を受けたことは前記のとおりであるから、

これにより上告人の被上告人に対する

本件保証契約による債務は消滅し、

その履行を求める被上告人の請求は棄却されるべきものであって、

これと結論を同じくする第一審判決は正当であるから、

被上告人の控訴は理由がなく、これを棄却すべきである。

 

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