根抵当権者に相当の対価を支払い根抵当権を放棄させた行為と詐欺罪の成立
(平成16年7月7日最高裁)
事件番号 平成13(あ)1839
最高裁判所の見解
事実関係の下では,本件各根抵当権等を放棄する対価として
AからCに支払われた金員が本件各不動産の時価評価などに基づき
住管機構において相当と認めた金額であり,かつ,
これで債務の一部弁済を受けて本件各根抵当権等を放棄すること自体については
Cに錯誤がなかったとしても,被告人に欺かれて
本件各不動産が第三者に正規に売却されるものと誤信しなければ,
Cが本件各根抵当権等の放棄に応ずることはなかったというべきである。
被告人は,以上を認識した上で,
真実は自己が実質的に支配するダミー会社への売却であることなどを秘し,
Cの担当者を欺いて本件各不動産を第三者に売却するものと誤信させ,
Cをして本件各根抵当権等を放棄させてその抹消登記を了したものであるから,
刑法246条2項の詐欺罪が成立するというべきである。
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