概算払による公金の支出と住民監査請求期間の起算日
( 平成7年2月21日最高裁)
事件番号 平成6(行ツ)108
最高裁判所の見解
概算払は、地方自治法が普通地方公共団体の支出の一方法として
認めているものであるから(二三二条の五第二項)、
支出金額を確定する精算手続の完了を待つまでもなく、
住民監査請求の対象となる財務会計上の行為としての
公金の支出に当たるものというべきである。
そして、概算払による公金の支出に違法又は不当の点がある場合は、
債務が確定していないからといって、
これについて監査請求をすることが妨げられる理由はない。
債務が確定した段階で精算手続として行われる財務会計上の
行為に違法又は不当の点があるならば、これについては、
別途監査請求をすることができるものというべきである。
そうすると、概算払による公金の支出についての監査請求は、
当該公金の支出がされた日から一年を経過したときは、
これをすることができないものと解するのが相当であって、
これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。
論旨は、違憲をいう点を含め、独自の見解に立って
原審の右判断における法令の解釈適用の誤りをいうものにすぎず、
採用することができない。
スポンサードリンク