横田基地夜間飛行差止等請求事件
(平成14年4月12日最高裁)
事件番号 平成11(オ)887
最高裁判所の見解
外国国家に対する民事裁判権免除に関しては,
いわゆる絶対免除主義が伝統的な国際慣習法であったが,
国家の活動範囲の拡大等に伴い,国家の私法的ないし
業務管理的な行為についてまで民事裁判権を免除するのは
相当でないとの考えが台頭し,免除の範囲を制限しようとする
諸外国の国家実行が積み重ねられてきている。
しかし,このような状況下にある今日においても,
外国国家の主権的行為については,
民事裁判権が免除される旨の国際慣習法の
存在を引き続き肯認することができるというべきである。
本件差止請求及び損害賠償請求の対象である合衆国軍隊の航空機の
横田基地における夜間離発着は,我が国に駐留する
合衆国軍隊の公的活動そのものであり,
その活動の目的ないし行為の性質上,主権的行為であることは明らかであって,
国際慣習法上,民事裁判権が免除されるものであることに疑問の余地はない。
したがって,我が国と合衆国との間でこれと異なる取決めがない限り,
上告人らの差止請求及び損害賠償請求については被上告人に対して
我が国の民事裁判権は及ばないところ,
両国間にそのような取決めがあると認めることはできない。
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