民事執行法180条,民事執行規則

(平成17年11月24日最高裁)

事件番号  平成15(受)278

 

この裁判は、

同順位の根抵当権者の1人が提出した

不動産競売事件の申立書の被担保債権及び

請求債権の部分における

「金8億円 但し,債権者が債務者に対して有する下記債権のうち,

下記記載の順序にしたがい上記金額に満つるまで。」

との記載が被担保債権の一部について

担保権の実行をする趣旨の記載ではないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

民事執行規則170条は,担保権の実行としての競売の申立書には

「担保権及び ,被担保債権の表示 (2号 」 ),

「担保権の実行又は行使に係る財産の表示 (3号 」 ),

「被担保債権の一部について担保権の実行又は行使をするときは,

その旨及びその範囲」

(4号 等を記載しなければならないと規定し

同規則173条1項 23条1号は ) , , ,

不動産に関する競売の申立書には

当該不動産の登記簿の謄本を添付しなければならないと規定している。

 

上記1のとおり,上告人は,本件申立書により,

本件土地に対して本件根抵当権の実行としての競売を申し立て,

被担保債権の表示として本件手形貸付債権を記載しているところ,

本件申立書添付の登記簿謄本には,

本件根抵当権者らの順位1番の各根抵当権が記載されており,また,

本件土地は,競売により25億4385万1124円で

売却された価値を有するものである。

 

そして,本件申立書には,上告人が被担保債権の

一部について本件根抵当権の実行をする旨の明示の記載はない。

 

ところで,本件申立書には 「被担保債権及び請求債権」として

「金8億円 , , 但し,債権者が債務者に対して有する下記債権のうち,

下記記載の順序にしたがい上記金額に満つるまで 」との

記載に続けて本件手形貸付債権の記載がある。原審は,

この記載は上告人が被担保債権である本件手形貸付債権のうち

8億円の範囲で本件根抵当権の実行を申し立てる趣旨であると解した。

 

しかし,先に述べた本件申立書(添付の不動産登記簿謄本を含む )の

全体の記載の中で上記「被担保債権及び請求債権」 。

の部分の文言を見れば,同部分の記載は,

被担保債権である本件手形貸付債権のうち8億円の範囲に限って

本件根抵当権の実行を申し立てる趣旨のものとは解し難く,

本件手形貸付債権の全部について本件根抵当権を実行し,

本件手形貸付債権の全部を配当額の計算の基礎とした上で

本件手形貸付債権のうち 下記記載の順序にしたがい ,

「 8億円に満つるまでの配当を請求すること,換言すると,

8億円までの範囲で配当を請求することを示す

趣旨のものと解するのが相当である。

すなわち,上記「被担保債権及び請求債権」の部分の記載は,

民事執行規則170条4号の「被担保債権の一部について担保権の実行」

をする旨及び「その範囲」を示す記載であると解することはできない。

 

そうすると 本件申立てにおいて

本件根抵当権の実行の基礎とされた被担保債権は

本件手形貸付債権の全部であるというべきであり,

本件申立てに係る競売事件における配当額の計算の基礎となる

上告人の債権額は,本件手形貸付債権の額とすべきである。

 

以上によれば,原審の上記判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

原判決は破棄を免れない。論旨は,

この趣旨をいうものとして理由がある。

 

そして,前記事実関係によれば,本件手形貸付債権の額は

63億6939万8436円,上告人を除く本件根抵当権者らの

各被担保債権の額は別表の「届出債権額等」欄記載のとおりであり,

以上の各被担保債権の額を基礎として本件根抵当権者らの配当額を計算すると,

別表の「変更後の配当額」欄記載の各金額となる。

 

そうすると,上告人の請求は理由があるから,

これを棄却した第1審判決を取り消して,同請求を認容することとする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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