民事執行法188条,74条1項

(平成22年8月25日最高裁)

事件番号  平成22(許)2

 

最高裁判所の見解

担保不動産競売事件の期間入札において,執行官が,

最高の価額で買受けの申出をした入札人の入札を誤って無効と判断し,

他の者を最高価買受申出人と定めて開札期日を終了した場合,

売却の手続に重大な誤りがあることは明らかである。

 

この場合,執行裁判所は,誤って

最高価買受申出人と定められた者に対する

売却を不許可とすることとなるが,その後は,

改めて期間入札を実施するほかはなく,

上記入札人は再び買受けの申出を

することができるにすぎないと解することは,

最高価買受申出人と定められ売却許可決定を受けられるはずであった

上記入札人の保護に欠けることになり,相当でない。

 

他方,執行官による上記の誤りがあるからといって,

既に行われた売却の手続全体が瑕疵を帯びると解する理由はなく,

当該瑕疵が治癒されれば当初の売却の手続を続行するのに何ら支障はない。

 

そうすると,上記の場合には,執行裁判所は,

誤って最高価買受申出人と定められた者に対する売却を不許可とした上で,

当初の入札までの手続を前提に改めて開札期日及び売却決定期日を定め,

これを受けて執行官が再び開札期日を開き,

最高価買受申出人を定め直すべきものと解するのが相当である。

 

このことは,当初の開札期日において開札されないまま無効と

判断された入札があるため,当該入札が最高の価額での入札である

可能性を否定することができない場合についても,同様である。

 

そして,執行裁判所は,再度の開札期日を経て

最高価買受申出人と定められた入札人について,

売却不許可事由がない限り,売却許可決定をすべきこととなる。

 

なお,法及び民事執行規則(以下「規則」という。)には,

入札人に対し買受けの申出の保証を再度提供させることを

予定した規定は置かれていないが,執行裁判所は,

改めて開札期日を定めるに当たり,期限を定めて

買受けの申出の保証を提供させ,執行官は

その提供をした入札人の入札のみを

有効なものと扱えば足りるのであるから,

この点は上記のように解する妨げにはならない。

 

したがって,自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず,

執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて

他の者が最高価買受申出人と定められたため,

買受人となることができなかったことを主張する入札人は,

法188条,74条1項に基づき,

この者が受けた売却許可決定に対し

執行抗告をすることができるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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