民法127条1項,民法135条1項,民法632条

(平成22年10月14日最高裁)

事件番号  平成21(受)976

 

この裁判は、

数社を介在させて順次発注された工事の最終の受注者XとXに対する

発注者Yとの間におけるYが請負代金の支払を受けた後にXに対して

請負代金を支払う旨の合意が,Xに対する請負代金の支払につき,

Yが請負代金の支払を受けることを

停止条件とする旨を定めたものとはいえず,

Yが上記支払を受けた時点又はその見込みがなくなった時点で

支払期限が到来する旨を定めたものと解された事例です。

 

最高裁判所の見解

事実関係によれば,本件請負契約が

有償双務契約であることは明らかであるところ,

一般に,下請負人が,自らは現実に仕事を完成させ,

引渡しを完了したにもかかわらず,自らに対する注文者である請負人が

注文者から請負代金の支払を受けられない場合には,

自らも請負代金の支払が受けられないなどという合意をすることは,

通常は想定し難いものというほかはない。

 

特に,本件請負契約は,

代金額が3億1500万円と高額であるところ,

一部事務組合である東部地域広域水道企業団を

発注者とする公共事業に係るものであって,

浄水場内の監視設備工事の発注者である同企業団からの

請負代金の支払は確実であったことからすれば,上告人と

被上告人との間においては,同工事の請負人であるAから

同工事の一部をなす本件機器の製造等を順次請け負った

各下請負人に対する請負代金の支払も

順次確実に行われることを予定して,

本件請負契約が締結されたものとみるのが相当であって,

上告人が,自らの契約上の債務を履行したにもかかわらず,

被上告人において上記請負代金の支払を受けられない場合には,

自らもまた本件代金を受領できなくなることを

承諾していたとは到底解し難い。

 

したがって,上告人と被上告人とが,本件請負契約の締結に際して,

本件入金リンク条項のある注文書と請書とを取り交わし,

被上告人が本件機器の製造等に係る請負代金の支払を受けた後に

上告人に対して本件代金を支払う旨を合意したとしても,

有償双務契約である本件請負契約の性質に即して,

当事者の意思を合理的に解釈すれば,本件代金の支払につき,

被上告人が上記支払を受けることを

停止条件とする旨を定めたものとはいえず,

本件請負契約においては,被上告人が上記請負代金の支払を受けたときは,

その時点で本件代金の支払期限が到来すること,また,

被上告人が上記支払を受ける見込みがなくなったときは,

その時点で本件代金の支払期限が到来することが

合意されたものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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