民法173条1号の「商品ノ代価」
(平成元年6月23日最高裁)
事件番号 平成1(オ)340
最高裁判所の見解
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、
正当として是認することができ、右事実関係によれば、
被上告人は繊維製品の卸売、輸出入を業とする会社であり、
上告人は繊維製品の貿易を業とする会社であるが、
被上告人と上告人との本件取引は、被上告人において
上告人が指定した商品を外国から外貨建てで
継続的に輸入して上告人に対して引き渡し、一方、
上告人は被上告人に対して、右引渡時点において、
当該商品の外貨で表示された輸入代金及びこれに
通関等諸費用及び被上告人の手数料に相当する
一定割合を乗じた金額を当事者間で仮に定めた為替割合により邦貨に換算したうえ、
これを支払うこととするとともに、信用状決済までの
実際の為替割合の変動により右支払額について
生じた被上告人の差損益を、右支払とは別に、
相当期間毎に上告人と被上告人との間において
清算するという合意に基づくものであり、
右差損益清算の合意に基づく本件清算金請求債権が
民法一七三条一号の「商品ノ代価」に該当しないことは明らかであるから、
これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、
その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、
本件と事案を異にし適切でない。論旨は、ひつきよう、
原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、
独自の見解に基づき原判決を論難し、
又は原判決の結論に影響しない点をとらえて
その違法をいうものにすぎず、採用することができない。
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