民法249条,民法264条,民法502条1項

(平成17年1月27日最高裁)

事件番号  平成16(受)1019

 

この裁判では、

不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し

そのうちの1個の債権のみについての保証人が

当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において

当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを

消滅させるに足りないときの上記売却代金からの弁済受領額について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し,

そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る

残債務全額につき代位弁済した場合は,

当該抵当権は債権者と保証人の準共有となり,

当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを

消滅させるに足りないときには,債権者と保証人は,

両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての

特段の合意がない限り,上記売却代金につき,

債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて

案分して弁済を受けるものと解すべきである。

 

なぜなら,この場合は,民法502条1項所定の

債権の一部につき代位弁済がされた場合(前掲最高裁昭和60年5月23日

第一小法廷判決参照)とは異なり,債権者は,

上記保証人が代位によって取得した債権について,

抵当権の設定を受け,かつ,保証人を徴した目的を達して

完全な満足を得ており,保証人が当該債権について

債権者に代位して上記売却代金から弁済を受けることによって

不利益を被るものとはいえず,また,保証人が

自己の保証していない債権についてまで債権者の優先的な

満足を受忍しなければならない理由はないからである。

 

原判決引用の判例(最高裁昭和60年(オ)第872号同62年4月23日

第一小法廷判決・金融法務事情1169号29頁)は,

第1順位の根抵当権を有する債権者が,その元本確定後に,

複数の被担保債権のうちの1個の債権に係る残債務全額につき

代位弁済を受けた場合,残債権額及び根抵当権の極度額の限度内において,

後順位抵当権者に優先して売却代金から弁済を

受けることができる旨を判示したものであり,

本件とは事案を異にする。

 

以上によれば,本件抵当権の数個の被担保債権(本件各債権)のうちの

1個の債権(本件債権(う))のみについての保証人である上告人は,

当該債権(本件債権(う))に係る残債務全額につき代位弁済したが,

本件管財人によって販売された本件不動産の売却代金が

被担保債権(本件各債権)のすべてを消滅させるに足りないのであるから,

上告人と被上告人は,両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての

特段の合意がない限り,上記売却代金につき,

被上告人が有する残債権額と上告人が代位によって

取得した債権額に応じて案分して弁済を受けるものというべきである。

 

これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが

明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,

原判決は破棄を免れない。そして,被上告人が

上告人に優先して弁済を受ける旨の合意の有無等について

更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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