民法249条,民法703条,民法709条,民訴法246条

(平成12年4月7日最高裁)

事件番号  平成9(オ)1876

 

最高裁判所の見解

原審は、Eが昭和四二年五月二二日に死亡したこと、

Eには妻F並びにD、被上告人B1及び同B2の三人の子があったこと、

Dが同五九年一二月四日に、Fが平成四年五月二四日に、

それぞれ死亡したこと、Eが昭和二九年ないし三〇年に

本件建物一及び本件建物二を建築してこれらを取得した上、

同四二年四月ころにFにこれらを贈与し、

同五三年四月一〇日にFから被控訴人B2に

本件建物一が同B1に本件建物二が各贈与されたことを

併せて認定している。以上の事実によれば、

特段の事情のない限り、Eの死亡に伴い、

法定相続人の一人であるDが本件各土地の九分の二の持分を相続により

取得したはずのものである。

 

そうすると、上告人がDの右持分を相続により

取得したというのであれば、上告人は、

同様にE及びFの死亡に伴い本件各土地の持分を

相続により取得した共有者である被上告人B1及び同B2に対して

本件各土地の地上建物の収去及び本件各土地の明渡しを

当然には請求することができず(最高裁昭和三八年(オ)第一〇二一号

同四一年五月一九日第一小法廷判決・民集二〇巻五号九四七頁参照)、

同B1に本件各土地の登記済権利証の引渡しを

請求することや同B2の所有する本件建物一に居住している

同B3に対して退去を請求することもできないものというべきである。

 

しかし、同B1及び同B2が共有物である本件各土地の各一部を

単独で占有することができる権原につき

特段の主張、立証のない本件においては、上告人は、右占有により

上告人の持分に応じた使用が妨げられているとして、

右両名に対して、持分割合に応じて占有部分に係る

地代相当額の不当利得金ないし

損害賠償金の支払を請求することはできるものと解すべきである。

 

そして、上告人は右のEの死亡による

その持分の相続取得の主張をしていないが、原審としては、

前記各事実を当事者の主張に基づいて確定した以上は、

適切に釈明権を行使するなどした上でこれらをしんしゃくし、

上告人の請求の一部を認容すべきであるかどうかについて

審理判断すべきものである

(最高裁平成七年(オ)第一五六二号同九年七月一七日

第一小法廷判決・裁判集民事一八三号一〇三一頁参照)。

 

そうすると、原審の前記判断には、

法令の適用を誤る違法があるというべきであり、

この違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。

 

したがって、原判決のうち上告人の

被上告人B1及び同B2に対する金員の支払請求に係る部分は

破棄を免れず、右部分につき、更に審理を尽くさせるため、

本件を原審に差し戻すこととする。

 

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