民法95条にいう要素の錯誤

(平成22年3月18日最高裁)

事件番号  平成20(受)1392

 

金融機関と交渉して当該金融機関に対する

連帯保証人の保証債務を免れさせるという

債務を履行する力量についての誤信は,ただ単に,

債務者にその債務を履行する能力があると信頼したにもかかわらず,

実際にはその能力がなく,

その債務を履行することができなかったというだけでは,

民法95条にいう要素の錯誤とするに足りず,

債務者自身の資力,他からの資金調達の見込み等,

債務の履行可能性を左右すべき重要な具体的事実に関する認識に誤りがあり,

それが表示されていた場合に初めて,

要素の錯誤となり得るというべきである。

 

前記認定事実によれば,被上告人らが上告人Y に

本件合意を履行する能力があると信じた事情として,

上告人Y から前記の大物3名の上告人Y の理事への就任が予定され,

将来的 にはC大学がA学園を経営することになるという

説明がされたことがあるが,

これらは,本件議決権行使等の当時においては

現実に存在した事柄であったということができ,

その後同理事らが辞任するなどし,

C大学側との協議が成立するに至らなかったとしても,

本件議決権行使等の当時においてこれらの点につき

錯誤があったことになるものではない。

 

そのほかに,上告人Y の資力,資金調達の見込み等,

債務の履行可能性を左右すべき重要な具体的事実に関して,

被上告人らに錯誤があったことをうかがわせる事情は存しないから,

上告人Y が本件債務を履行する力量を

備えているものと信頼していたとしても,

その信頼が表示されていたか否かにかかわらず,

要素の錯誤があったものとはいえない。

 

そうすると,旧理事らによる本件議決権行使等が

要素の錯誤により無効であるということはできない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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