民訴法103条2項,民訴法107条1項1号,旧民訴法172条

(平成10年9月10日最高裁)

事件番号  平成5(オ)1211

 

最高裁判所の見解

民事訴訟関係書類の送達事務は、

受訴裁判所の裁判所書記官の固有の職務権限に属し、

裁判所書記官は、原則として、その担当事件における

送達事務を民訴法の規定に従い独立して行う権限を有するものである。

 

受送達者の就業場所の認定に必要な資料の収集については、

担当裁判所書記官の裁量にゆだねられているのであって、

担当裁判所書記官としては、相当と認められる方法により

収集した認定資料に基づいて、就業場所の存否につき判断すれば足りる。

 

担当裁判所書記官が、受送達者の就業場所が不明であると

判断して付郵便送達を実施した場合には、

受送達者の就業場所の存在が事後に判明したときであっても、

その認定資料の収集につき裁量権の範囲を逸脱し、

あるいはこれに基づく判断が合理性を欠くなどの事情がない限り、

右付郵便送達は適法であると解するのが相当である。

 

これを本件についてみるに、前記事実関係によれば、

受訴裁判所の担当各裁判所書記官は、

上告人の住所における送達ができなかったため、

当時の札幌簡易裁判所における送達事務の一般的取扱いにのっとって、

当該事件の原告であるDに対して上告人の住所への居住の有無及び

その就業場所等につき照会をした上、その回答に基づき、

いずれも上告人の就業場所が不明であると判断して、

本来の送達場所である上告人の住所あてに訴状等の

付郵便送達を実施したものであり、

Dからの回答書の記載内容等にも

格別疑念を抱かせるものは認められないから、

認定資料の収集につき裁量権の範囲を逸脱し、

あるいはこれに基づく判断が合理性を欠くものとはいえず、

右付郵便送達は適法というべきである。

 

四 したがって、上告人の被上告人に対する

国家賠償法一条一項に基づく本件損害賠償請求は、

その余の点につき判断するまでもなく、

理由がないことは明らかであり、

上告人の右請求を棄却すべきものとした原審の判断は、

結論において是認することができる。論旨は採用することができない。

 

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