民訴法197条1項3号にいう職業の秘密

(平成19年12月11日最高裁)

事件番号  平成19(許)23

 

この裁判では、

金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として

開示を求められた顧客情報について,

当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に,

同情報は,民訴法197条1項3号にいう

職業の秘密として保護されるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

金融機関は,顧客との取引内容に関する

情報や顧客との取引に関して得た顧客の

信用にかかわる情報などの顧客情報につき,

商慣習上又は契約上,当該顧客との関係において守秘義務を負い,

その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。

 

しかしながら,金融機関が有する上記守秘義務は,

上記の根拠に基づき個々の顧客との関係において

認められるにすぎないものであるから,

金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として

開示を求められた顧客情報について,

当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として

開示義務を負う場合には,

当該顧客は上記顧客情報につき金融機関の守秘義務により

保護されるべき正当な利益を有さず,金融機関は,

訴訟手続において上記顧客情報を開示しても

守秘義務には違反しないというべきである。

 

そうすると,金融機関は,訴訟手続上,

顧客に対し守秘義務を負うことを理由として

上記顧客情報の開示を拒否することはできず,

同情報は,金融機関がこれにつき職業の秘密として

保護に値する独自の利益を有する場合は別として,

民訴法197条1項3号にいう

職業の秘密として保護されないものというべきである。

 

これを本件についてみるに,本件明細表は,

相手方とその顧客であるBとの取引履歴が記載されたものであり,

相手方は,同取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえず,

これについてBとの関係において守秘義務を負っているにすぎない。

 

そして,本件明細表は,

本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば,

民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず,

提出義務の認められる文書であるから,

Bは本件明細表に記載された取引履歴について

相手方の守秘義務によって保護されるべき正当な利益を有さず,

相手方が本案訴訟において本件明細表を提出しても,

守秘義務に違反するものではないというべきである。

 

そうすると,本件明細表は,職業の秘密として保護されるべき

情報が記載された文書とはいえないから,相手方は,

本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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