民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」

(平成16年11月26日最高裁)

事件番号  平成16(許)14

 

最高裁判所の見解

本件文書は,民訴法220条4号ニ所定の

「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」には

当たらないというべきである。

 

これと同旨の原審の判断は正当として是認することができる。

なお,所論引用の最高裁平成11年(許)第26号

同12年3月10日第一小法廷決定・

裁判集民事197号341頁は,

事案を異にし本件に適切でない。論旨は採用することができない。

 

民訴法197条1項2号所定の「黙秘すべきもの」とは,

一般に知られていない事実のうち,

弁護士等に事務を行うこと等を依頼した本人が,

これを秘匿することについて,単に主観的利益だけではなく,

客観的にみて保護に値するような利益を

有するものをいうと解するのが相当である。

 

前記のとおり,本件文書は,法令上の根拠を有する命令に基づく

調査の結果を記載した文書であり,抗告人の旧役員等の経営責任とは

無関係なプライバシー等に関する事項が記載されるものではないこと,

本件文書の作成を命じ,その提出を受けた本件保険管理人は公益のために

その職務を行い,本件文書を作成した本件調査委員会も

公益のために調査を行うものであること,

本件調査委員会に加わった弁護士及び公認会計士は,

その委員として公益のための調査に加わったにすぎないことにかんがみると,

本件文書に記載されている事実は,客観的にみてこれを秘匿することについて

保護に値するような利益を有するものとはいえず,

同号所定の「黙秘すべきもの」には

当たらないと解するのが相当である。

 

したがって,本件文書は,同法220条4号ハ所定の

「第197条第1項第2号に規定する事実で黙秘の義務が

免除されていないものが記載されている文書」

には当たらないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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