民訴法318条1項,裁判所法11条

(平成14年11月22日最高裁)

事件番号  平成13(行ヒ)14

 

最高裁判所の見解

本件は,法人である飲食業者が静岡県に対し

代金の支払を請求した際に送金先として示した

金融機関名,預金種別,口座番号が,

静岡県公文書の開示に関する条例

(平成元年静岡県条例第15号)9条3号が定める

「法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。

以下「法人等」という。)に関する情報又は

事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,

開示することにより,当該法人等又は当該事業を営む

個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が

損なわれると認められるもの」

に当たるかどうかが争われている事案である。

 

上記情報は事業者の内部管理情報とされるものであるが,

自己に関する情報を開示する範囲を選択することができる

法的利益が問題となることからすれば,

個人の場合のプライバシーの権利によって保護される情報又は

これに準じるものとして,保護を受け得るものかどうかについて,

検討する必要があるというべきである。

 

また,奈良県情報公開条例における同趣旨の規定に

該当するかどうかが問題とされた本件と類似の事案につき,

第一小法廷平成14年9月12日判決

(最高裁同11年(行ヒ)第50号,裁判所時報1323号7頁

〔編注:裁判集(民事)207号77頁〕)は,

一般的な飲食業者の業務態様をみれば,

不特定多数の者が新規に

その顧客となり得るのが通例であり,

代金の請求書に口座番号等を記載して顧客に

交付している飲食業者にあっては,

口座番号等を内部限りにおいて管理することよりも,

決済の便宜に資することを優先させているものと考えられ,

請求書に記載して顧客に交付することにより,

口座番号等が多数の顧客に広く知れ渡ることを容認し,

当該顧客を介してこれが更に広く知られ得る状態に

置いているものということができるとして,

顧客が奈良県であるからこそ特別に開示したなどという

特段の事情がない以上,口座番号等は,

これを開示しても飲食業者の正当な利益が損なわれると

認められるものに当たらないという判断を示している。

 

しかし,本件では,記録によれば,飲食業者があらかじめ用意して

顧客である静岡県に交付した請求書に

口座番号等が記載されていたものと,

静岡県が定めた様式の請求書用紙の預金口座の

記入欄に飲食業者が記入して提出したものとがある。

 

本件のような場合に,静岡県への請求書の交付又は提出によって,

飲食業者において,口座番号等が多数の顧客に

広く知れ渡ることを容認し,更にこれが広く知られ得る状態に

置いたものということができるかどうかという点は,

非開示事由に該当するかどうかを判断する上において,

基礎となる事実関係の確認を含めて,検討すべき重要な問題点である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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