水道法15条1項にいう「正当の理由」

(平成11年1月21日最高裁)

事件番号  平成7(オ)2122

 

最高裁判所の見解

右事実関係によれば、被上告人は全国有数の人口過密都市であり、

今後も人口集積が見込まれるところ、被上告人の経営する水道事業は、

固有の認可水源の取水能力が低下している一方、

I企業団からの浄水受水も渇水期には必ずしも万全とはいえない上、

その受水量を増大させるためのダムは計画どおりに完成しておらず、

受水量の増大が実現するのは将来のことであって、

これら認可水源のみでは現在必要とされる給水量を賄うことができず、

これを補うためにa町から浄水を受水していたが、

平成三年四月以降はこれも中止されており、やむなく、

認可外であり、かつ、河川法上の手続を経て

水利権を取得していないにもかかわらず、

農業水利権者との契約に基づいてb川から取水して給水量を補っているが、

法的見地からみても契約条項からみても

右取水は不安定といわざるを得ず、

被上告人においてこれらの状況を改善するために

多額の財政的負担をして種々の施策を執ってきているが、

容易に右状況が改善されることは見込めないため、

このまま漫然と新規の給水申込みに応じていると、

近い将来需要に応じきれなくなり深刻な水不足を生ずることが

予測される状態にあるということができる。

 

このようにひっ迫した状況の下においては、

被上告人が、新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、

住宅を供給する事業を営む者が住宅を分譲する目的で

あらかじめしたものについて契約の締結を拒むことにより、

急激な水道水の需要の増加を抑制する施策を講ずることも、

やむを得ない措置として許されるものというべきである。

 

そして、上告人の給水契約の申込みは、

マンション四二〇戸を分譲するという

目的のためにされたものであるから、

所論のように、建築計画を数年度に分け、

井戸水を併用することにより水道水の使用量を

押さえる計画であることなどを考慮しても、

被上告人がこれを拒んだことには法一五条一項にいう

「正当の理由」があるものと認めるのが相当である。

 

五 以上によれば、右と結論において同旨の原審の判断は、

是認することができる。

 

上告人は違憲をも主張するが、いずれもB町水道事業給水規則三条の

二第一項の定める基準に基づいて

給水契約締結の拒否の適否を決することをもって

憲法違反と主張するものであって、右のとおり、

右基準の定めにかかわりなく、本件の給水契約締結の拒否は

適法であると解されるのであるから、所論は前提を欠く。

 

その余の論旨は、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、

又は独自の見解に立って、若しくは原判決を正解しないで

これを論難するものであり、採用することができない。

 

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