求償権の消滅時効の中断

(平成9年9月9日最高裁)

事件番号  平成7(オ)740

 

最高裁判所の見解

1 債権者が主たる債務者の破産手続において債権全額の届出をし、

その後、債権者に債権全額を代位弁済した保証人が、

破産裁判所に右債権の届出をした者の地位を承継した旨の

届出名義の変更の申出をしたときは、右代位弁済により

保証人が破産者に対して取得する求償権の消滅時効は、

求償権自体について届出をしなくとも、

右求償権の全部につき右届出名義の変更の申出の時から

破産手続の終了に至るまで中断すると解するのが相当である

(最高裁平成三年(オ)第一四九三号同七年三月二三日

第一小法廷判決・民集四九巻三号九八四頁参照)。

 

そうすると、前記一のとおり、E建設の破産手続において、

D銀行が債権全額の届出をし、その後、

D銀行に債権全額を代位弁済した被上告人が、

破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の

届出名義の変更の申出をしたことによって、

被上告人のE建設に対する求償権の消滅時効は中断し、

その結果、上告人に対する連帯保証契約上の債権についても

消滅時効の中断の効力が生じたものというべきである

(民法四五七条一項)。

 

したがって、これと同旨の原審の前記(1)の判断は、

正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

 

右判断は、所論引用の判例に抵触するものではない。

この点に関する論旨は採用することができない。

 

2 しかし、右の場合において、保証人による

届出名義の変更の申出が債権調査期日の後にされたときは、

債権調査期日において届出債権につき破産管財人、

破産債権者及び破産者に異議がなかったときであっても、

求償権の存在及び内容について確定する手続が

とられたとみることはできないから、求償権の消滅時効の期間は、

民法一七四条ノ二第一項により一〇年に変更されるものではないと解するのが

相当である(前記第一小法廷判決参照)。

 

そうすると、被上告人が前記の代位弁済により

E建設に対して取得した求償権については、

被上告人が破産裁判所に届出名義の変更の申出をした

昭和五七年九月二七日に消滅時効が中断し、

破産手続が終了した同年一二月三日から更に

五年の消滅時効が進行するものといわなければならない。

 

このことは、上告人に対する連帯保証契約上の債権についても同様であって、

他に消滅時効の中断事由に関する主張立証はないから、

本訴が提起された平成四年一一月一二日には、

右債権について既に五年の消滅時効が完成していたことが明らかである。

 

したがって、これと異なる前記(2)の原審の判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この趣旨をいう論旨は理由があるから、原判決中、

上告人に関する部分は破棄を免れない。

 

そして、以上に説示したところによれば、

被上告人の上告人に対する本訴請求は失当として棄却すべきものであり、

これと結論を同じくする第一審判決は正当であるから、

右部分についての被上告人の控訴は棄却すべきである。

 

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