求償権の行使の要件とその限度

(平成7年1月20日最高裁)

事件番号  平成3(オ)491

 

最高裁判所の見解

連帯保証人は、自己の負担部分を超える額を弁済した場合は、

民法四六五条一項、四四二条に基づき、

他の連帯保証人に対し、右負担部分を超える部分についてのみ、

求償権を行使し得るにとどまり

(最高裁昭和四五年(オ)第六一七号同四六年三月一六日

第三小法廷判決・民集二五巻二号一七三頁)、

弁済した全額について負担部分の割合に応じて

求償することができるものではない。

 

そして、連帯保証人の一人について和議開始決定があり、

和議認可決定が確定した場合において、

右和議開始決定の時点で、他の連帯保証人が和議債務者に対して

求償権を有していたときは、右求償権が和議債権となり、

その内容は和議認可決定によって和議条件どおりに変更される。

 

右の場合、和議開始決定の後に弁済したことにより、

和議債務者に対して求償権を有するに至った連帯保証人は、

債権者が債権全部の弁済を受けたときに限り、

右弁済による代位によって取得する債権者の

和議債権(和議条件により変更されたもの)の限度で、

右求償権を行使し得るにすぎないと解すべきである。

 

けだし、債権者は、債権全部の弁済を受けない限り、

和議債務者に対し、和議開始決定当時における和議債権全額について

和議条件に従った権利行使ができる地位にあること

(最高裁昭和六〇年(オ)第五八九号同六二年六月二日第三小法廷判決・

民集四一巻四号七六九頁参照)からすれば、

連帯保証人は、債権者が債権全部の弁済を受けるまでの間は、

一部の弁済を理由として和議債務者に

求償することはできないというべきであり、また、

和議制度の趣旨にかんがみても、和議債務者に対し、

和議条件により変更された和議債権以上の権利行使を認めるのは、

不合理だからである。

 

これを本件についてみるに、

Gの上告人に対する求償権の存否及び額を判断するには、

前記説示したところに従って、

和議開始決定までにGが上告人に対して有していた求償権、

和議開始決定の後にGが上告人に対して有するに至った求償権、

和議開始決定時にDが上告人に対して有していた

和議債権(連帯保証債権)の各内容及びDが

債権全額の弁済を受けたか否かを確定しなければならない。

 

ところが、原審は、これらの点を何ら確定しないまま、

Gは、上告人に対し、右の和議開始決定の前後にわたって

DにGが弁済した額の合計額の二分の一に相当する

二二九八万七三六五円の求償権を有するものとし、

右求償権が本件和議条件とは異なる内容に変更されたものと判断し、

その限度で被上告人らの請求を認容したものであり、

原審の判断は、法令の解釈適用を誤った違法があり、

この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

論旨は右の趣旨をいうものとして理由があり、

原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。

 

そして、以上判示したところに従って更に

審理を尽くさせる必要があるから、

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク