法人税法(平成10年法律第24号による改正前のもの)69条

(平成17年12月19日最高裁)

事件番号  平成15(行ヒ)215

 

この裁判は、

外国税額控除の余裕枠を利用して

利益を得ようとする取引に基づいて

生じた所得に対して課された外国法人税を

法人税法(平成10年法律第24号による改正前のもの)69条の定める

外国税額控除の対象とすることが許されないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 賃借人は,賃貸借契約が終了した場合には,

賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ,

賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての

賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,

賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。

 

それゆえ,建物の賃貸借においては,

賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は

価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は,

通常,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませて

その支払を受けることにより行われている。

 

そうすると,建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての

原状回復義務を負わせるのは,

賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,

賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,

賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が

賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,

仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,

賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,

それを合意の内容としたものと認められるなど,

その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が

明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。

 

(2) これを本件についてみると,

本件契約における原状回復に関する約定を定めているのは

本件契約書22条2項であるが,その内容は

上記1(5)に記載のとおりであるというのであり,

同項自体において通常損耗補修特約の内容が

具体的に明記されているということはできない。

 

また,同項において引用されている本件負担区分表についても,

その内容は上記1(6)に記載のとおりであるというのであり,

要補修状況を記載した「基準になる状況」欄の文言自体からは,

通常損耗を含む趣旨であることが一義的に明白であるとはいえない。

 

したがって,本件契約書には,通常損耗補修特約の成立が

認められるために必要なその内容を

具体的に明記した条項はないといわざるを得ない。

 

被上告人は,本件契約を締結する前に,

本件共同住宅の入居説明会を行っているが,

その際の原状回復に関する説明内容は上記1(3)に

記載のとおりであったというのであるから,

上記説明会においても,通常損耗補修特約の内容を

明らかにする説明はなかったといわざるを得ない。

 

そうすると,上告人は,本件契約を締結するに当たり,

通常損耗補修特約を認識し,

これを合意の内容としたものということはできないから,

本件契約において通常損耗補修特約の

合意が成立しているということはできないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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