法人税法(平成10年法律第24号による改正前のもの)69条、外国法人税

(平成18年2月23日最高裁)

事件番号  平成16(行ヒ)326

 

この裁判は、

外国税額控除の余裕枠を利用して

利益を得ようとする取引に基づいて生じた所得に対して

課された外国法人税を法人税法

(平成10年法律第24号による改正前のもの)69条の

定める外国税額控除の対象とすることができないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

法人税法69条の定める外国税額控除の制度は,

内国法人が外国法人税を納付することとなる場合に,

一定の限度で,その外国法人税の額を

我が国の法人税の額から控除するという制度であり,

我が国の企業の海外における経済活動の振興を図るという政策的要請の下に,

国際的二重課税を防止し,海外取引に対する課税の公平と

税制の中立性を維持することを目的として設けられたものである。

 

ところが,本件各取引は,これを全体として見ると,

本来は内国法人が負担すべきでない外国法人税について,

内国法人である本件銀行が対価を得て引き受け,

これを自らの外国税額控除の余裕枠を利用して

我が国において納付されるべき法人税額を減らすことによって

回収することを内容とするものであることは明らかである。

 

これは,我が国の外国税額控除の制度を

その本来の趣旨及び目的から著しく逸脱する態様で利用することにより

納税を免れ,我が国において納付されるべき法人税額を減少させた上,

この免れた税額を原資とする利益を取引関係者が分け合うために,

本件銀行にとっては外国法人税を負担することにより

損失が生ずるだけの取引をあえて行うものというべきであって,

我が国ひいては我が国の納税者の負担の下に

取引関係者の利益を図るものにほかならない。

 

そうすると,本件各取引は,外国税額控除の制度を濫用するものであり,

これに基づいて生じた所得に対する外国法人税を

法人税法69条の定める外国税額控除の

対象とすることはできないというべきである。

 

以上によれば,本件各処分が違法であるとして

これを取り消すべきものとした原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

論旨は理由があり,原判決のうち

本件各処分の取消請求に係る部分は破棄を免れない。

 

そして,被上告人の上記請求はいずれも理由がないから,

同部分に関する第1審判決を取り消し,

同請求をいずれも棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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