法人税法22条3項1号にいう「当該事業年度の収益に係る売上原価」

(平成16年10月29日最高裁)

事件番号  平成12(あ)1714

 

この裁判は、

被告会社が土地を造成し宅地として販売するに当たり

地方公共団体から都市計画法上の同意権を背景として

開発区域外の排水路の改修工事を行うよう指導された場合において

その費用の見積金額を法人税法22条3項1号にいう

「当該事業年度の収益に係る売上原価」の額として

損金の額に算入することができるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

牛久市は,都市計画法上の同意権を背景として,

被告会社に対し本件改修工事を行うよう求めたものであって,

被告会社は,事実上その費用を支出せざるを得ない立場に置かれていたこと,

(2) 同工事の内容等は,牛久市側の方針の変更に伴い変遷しているものの,

被告会社が支出すべき費用の額は,終始第1案の工費に相当する金額であったこと,

(3) 被告会社は,昭和62年9月ころに

建設会社にこれを見積もらせるなど,

同年9月末日までの時点において既に

その支出を見込んでいたこと,などが明らかである。

 

これらの事実関係に照らすと,当期終了の日である同年9月末日において,

被告会社が近い将来に上記費用を支出することが

相当程度の確実性をもって見込まれており,かつ,

同日の現況によりその金額を適正に

見積もることが可能であったとみることができる。

 

このような事情がある場合には,当該事業年度終了の日までに

当該費用に係る債務が確定していないときであっても,

上記の見積金額を法人税法22条3項1号にいう

「当該事業年度の収益に係る売上原価」の額として

当該事業年度の損金の額に算入することができると

解するのが相当である。

 

したがって,原判決には,損金の額に算入すべき売上原価について,

法律の解釈を誤った結果,審理不尽,事実誤認の疑いがあり,

これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,

原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。

 

なお,原判決が維持した第1審判決は,

被告人Cにつき判示第一及び第二の各事実を,

被告会社につき判示第一の各事実をそれぞれ有罪としたものであるが,

判示第一の一の事実はその余の上記事実と

刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)45条前段の

併合罪の関係にあるとして起訴されたものであり,

判示第一の一の事実のみを分離することはできないから,

原判決中被告人両名に関する部分を全部破棄することとする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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